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ペスト菌が“黒死病”へと進化したきっかけとは

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2015年07月16日 AM10:00

1つの遺伝子変異が黒死病の始まりだった?

たった1つの遺伝子のわずかな変化が、比較的穏やかな細菌であったペスト菌を、黒死病などをもたらす恐ろしい病原体へと変化させた可能性が、新たな研究で報告された。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、ペスト菌はネズミに寄生するノミに噛まれたり、ネズミ自体に触れたりすることによりヒトに感染する。現在は抗生物質治療が有効だが、1300年代半ばの流行ではヨーロッパ人口の60%を死亡させたという。


画像提供HealthDay

腺ペスト、肺ペスト、敗血症性ペストなどの原因となるペスト菌が、これほど致死性の高いものになったきっかけは何か。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部(シカゴ)助教授のWyndham Lathem氏率いる研究チームは、マウスの保有するペスト菌の祖先株を調べ、主に消化管疾患をもたらしていた細菌が、いつ、どのようにして重症の肺ペストを引き起こす菌へと進化したのかを探った。

現在存在するペスト菌株の最も古い祖先は、肺に感染することはできるが、致死率の高い呼吸器疾患の原因となることはないという。この株とその他の株との主な違いはPlaと呼ばれる遺伝子であることが判明。研究グループは、この遺伝子の獲得によりペスト菌が肺に感染しやすくなっただけでなく、重篤な致死性の感染症をもたらすことが可能になったとの仮説を立て、祖先株にPla遺伝子を挿入することによってその仮説を検証した。

その結果、予想どおり変異株は致死性が増し、現代のペスト株のように重篤な呼吸器感染症を引き起こすようになった。ペスト菌は数千年の間にいくつもの遺伝子を獲得し、失ってきたが、これほどの致死性を得るのに必要としたのはPla遺伝子ひとつだったと、研究チームは述べている。また、Pla遺伝子には現代の株だけにみられる変異が見つかり、この変異がリンパ節への感染を可能にしたこともわかった。

「データから、Plaの獲得とその後の変異が、病原菌株の急速な進化を可能にしたことが示される。この情報は、わずかな遺伝子の変化により新たな呼吸器病原体が出現する機序を明らかにするものだ」とLathem氏は述べ、「今回の研究は、細菌がわずかなDNAを獲得することによって新たな宿主環境に適応する方法についての理解を深めてくれる」と付け加えている。

今回の研究は、「Nature Communications」に6月30日掲載された。(HeaetlhDay News 6月30日)

▼外部リンク
Did One Gene Mutation Launch the Black Death?

HealthDay
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