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iPS細胞と心臓との同期運動を分子レベルで証明、次世代型心不全治療に一歩前進-国循ら

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2015年01月29日 PM04:30

、高輝度光科学研究センターとの共同研究

国立循環器病研究センターは1月27日、動物実験において、心臓に移植されたiPS細胞由来心筋細胞内の収縮タンパク質分子が、宿主心筋と同期して運動することを、最先端の放射光ナノ技術を用いて世界で初めて証明したと発表した。


画像はプレスリリースより

これは、同センター心臓生理機能部の白井幹康部長、高輝度光科学研究センター利用研究促進部門の八木直人コーディネーターと大阪大学医学系研究科外科学講座・心臓血管外科学の澤芳樹教授、宮川繁特任准教授、福嶌五月助教ら共同研究チームによるもの。

iPS細胞を用いた心筋再生療法は、次世代型の心不全治療として期待されている。しかし、移植されたiPS細胞由来の心筋細胞が収縮弛緩を示し、宿主心臓と電気的に接合し同期運動することで心臓機能改善に寄与するという、心筋再生における最も重要なメカニズムは証明されていなかった。

宿主心臓と電気的に接合、同期運動を確認

今回の研究では、ラット心臓の左冠状動脈を結紮することで心筋梗塞を発生させた。そこへ心筋に分化させたiPS細胞由来心筋細胞培養シートを移植。その後、iPS細胞由来の心筋細胞が宿主心臓と融合した頃に、大型放射光施設SPring-8の高輝度放射光を用いたX線回折実験で、これら細胞内の収縮タンパク質に由来するX線回折ピークを観察したという。

これらの回折ピークの強度は心筋の収縮と同期して変化しており、収縮タンパク質が心臓と同期して働き、張力を発生していることが判明。これは、移植されたiPS細胞由来の心筋細胞が宿主心臓と電気的に接合して同期運動していることを証明しているという。

今回の研究成果によって、iPS細胞をSPring-8で評価するという、二分野における日本発の最先端技術を融合させることで、心臓疾病に対する次世代型治療を開発する上で重要なエビデンスが示された。研究チームは今後、このような異分野間の連携により、科学の進歩が加速されるものと考えられるとしている。

▼外部リンク
国立循環器病研究センター プレスリリース

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