肺に永久的な瘢痕化をもたらすIPF
独ベーリンガーインゲルハイム社は1月19日、開発中の新規化合物である「ニンテダニブ」(製品名:OFEV(R))が、特発性肺線維症(IPF)治療の適応を欧州委員会(EC)から取得した発表した。ニンテダニブは迅速審査指定を受け、2014年11月20日に欧州医薬品委員会(CHMP)から承認勧告を得ていた。

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IPF患者の有病率は世界全体で10万人あたり14~43人と推定されており、50歳以上に最も多くみられる。IPFは肺に永久的な瘢痕化をもたらし、肺から主要臓器に十分な酸素が行き渡らなくなる。
呼吸機能の年間減少率を50%抑制
ECによる承認の根拠となったのは、24か国1,066名の患者を対象とした同一の試験デザインである2つの第3相INPULSIS(R)試験の結果。同試験の結果から、ニンテダニブが早期疾患(%FVC90%超)患者、高分解能CT(HRCT)で蜂巣肺が認められない患者、肺気腫を合併している患者など、さまざまなタイプのIPF患者において呼吸機能の年間減少率を50%抑制し、病勢進行を遅らせることが示されたという。
英サウサンプトン大学の間質性肺疾患学科長、呼吸器内科教授であり、同試験の治験責任医師を務めたルカ・リケルディ氏は、プレスリリースで
「最近まで、IPF患者さんの治療選択肢は限られていました。EUでニンテダニブが承認されたことにより、生命を脅かす疾患を抱える患者さんに確かな有効性を持つ治療選択肢が与えられます。臨床試験の結果から、ニンテダニブは呼吸機能の年間減少率を約半分抑制することが示されています。また、ニンテダニブは、入院や死亡につながる可能性のある急性増悪の発現リスクも抑制したことが示されています」
と述べている。