医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 筋ジストロフィーを防ぐための新奇なメカニズムを発見−東京都医総研

筋ジストロフィーを防ぐための新奇なメカニズムを発見−東京都医総研

読了時間:約 1分15秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年12月19日 PM03:15

責任遺伝子産物であるカルパイン3が関与

東京都医学総合研究所は12月16日、同研究所の小野弥子主席研究員、反町洋之参事研究員らは、米国アリゾナ大学のCarol C. Gregorio教授との共同研究により、筋ジストロフィーの責任遺伝子産物であるカルパイン3が筋ジストロフィーを防止している分子メカニズムを明らかにしたと発表した。


画像はリリースより

この研究成果は、米科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)米国科学アカデミー紀要」オンライン版に現地時間12月15付で掲載されており、さらに2015年1月発行予定の「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」誌に掲載される予定。

筋ジストロフィーの新たな治療法の可能性を示唆

アルパイン3は、試験管内では自己を分解してしまう強い活性を持つ不安定なプロテアーゼである。同研究では、カルパイン3が筋肉中で2つの断片に切断され、いったん活性を失った後、再び会合して活性を回復し、機能しうることを発見したという。このようなプロテアーゼの性質は、ウイルス以外の生物では初めての報告となる。

カルパイン3が不安定であることは、筋肉の中でうまく働くために必要な性質であり、これが「筋ジストロフィーを発症しない状態」の維持に寄与すると考えられる。この結果により、カルパイン3の遺伝子に変異があり、活性が失われたために筋ジストロフィーとなっている場合、分解によって生じる2つの断片のうち、どちらか適当な方と同じ部分を補うことにより、活性を回復できる可能性が示された。これは、カルパイン3遺伝子の変異で筋ジストロフィーとなっている場合の新たな治療法の可能性を示唆するものとしている。(

▼外部リンク
東京都医学総合研究所 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 日本人がアフターコロナでもマスク着用を続けるのは「自分がしたいから」-阪大ほか
  • 乳児股関節脱臼の予防運動が効果的だったと判明、ライフコース疫学で-九大ほか
  • 加齢黄斑変性の前駆病変、治療法確立につながる仕組みを明らかに-東大病院ほか
  • 遺伝性不整脈のモデルマウス樹立、新たにリアノジン受容体2変異を同定-筑波大ほか
  • 小児COVID-19、罹患後症状の発生率やリスク要因を明らかに-NCGMほか