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東大 「フェニルブチレート」がPFICのかゆみに有効であることを世界で初めて発見

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2014年07月28日 PM06:00

大阪大学による共同臨床研究によって

東京大学は7月15日、同大大学院薬学系研究科の林久允助教らが、子どもの進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)を原因とするかゆみに対して、尿素サイクル異常症の治療薬である「」が改善効果を示すことが発見したと発表した。


画像はプレスリリースより

PFICは子どもの肝臓に関する希少疾患で、無治療の場合には成人前に肝不全に陥り、死に至る難病である。肝臓の機能低下による強いかゆみのために、物事に集中できない、夜間深い睡眠をとることができないなど、患児および家族の生活の質が低下するにもかかわらず、現在、肝臓の病気を原因としたかゆみに対する有効な治療法は無い。

かゆみに対する有効な治療薬の発見

今回、東京大学大学院薬学系研究科の林久允助教、直井壯太朗大学院生(同博士課程3年)、楠原洋之教授らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座(小児科学)の近藤宏樹助教、長谷川泰浩医員、大薗恵一教授らと共同で、1型(PFIC1)の患児を対象とした臨床研究を行い、その結果、尿素サイクル異常症の治療薬であるフェニルブチレートの有効性を立証したという。

今回の共同研究は、大阪大学医学部付属病院に通院しているPFIC1患児3名を対象に、フェニルブチレートの用量漸増試験が行われた。試験の結果、薬剤の用量増加に伴い、かゆみが改善することが確認されたという。

PFICは、原因遺伝子の違いによりPFIC1~PFIC3に分類されるが、林助教らの研究グループおよび他の研究グループにより、PFIC1、PFIC2おける肝臓の機能の低下については、肝細胞に存在するBile Salt Export Pump(BSEP)というタンパク質の機能の破綻に原因があることがつきとめられている。

さらに、林助教らの研究グループは、フェニルブチレートが、BSEPの機能を増強させる薬理作用を示すことを確認し、臨床研究により、PFIC2に関してはフェニルブチレートの治療効果を明らかにしている。

東京大学と大阪大学の研究グループは現在、治験開始に向けて準備を進めている。(本田 基)

▼外部リンク
東京大学 プレスリリース

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