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東北大 活性酸素の強力な消去物質を発見

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2014年04月23日 PM02:00

不明だった酸化ストレスの軽減、改善メカニズム

東北大学は4月15日、同大学院医学系研究科 環境保健医学分野の赤池孝章教授らが、活性酸素の強力な消去物質を発見したと発表した。アミノ酸の一種のシステインに過剰にイオウが結合した活性イオウ物質が体内で生成され、さらにその物質が極めて強力な活性酸素の消去能力を発揮することで、生体内で主要な抗酸化物質として機能しているという。


(画像はプレスリリースより)

研究グループはこれまでに、ヒトの細胞や動物実験などにおいて含硫アミノ酸であるシステインの代謝に関わる酵素シスタチオニン ベータ シンターゼ(CBS)とシスタチオニン ガンマ リアーゼ(CSE)が酸化ストレスを低減する作用があることを報告していたが、これらの酵素がどのようなメカニズムで酸化ストレスを軽減、改善するかについては不明だった。

活性酸素を消去、生体内で極めて高い抗酸化活性を発揮

今回の研究では、CBSやCSEがシステインにイオウが過剰に結合したシステイン・パースルフィドと呼ばれる活性イオウ物質を作り出すことを明かした。マウスを使った解析によって、活性イオウ物質は脳、心臓、肝臓などあらゆる臓器に存在し、また正常のヒト血液中にも豊富に存在することが分かったという。

そこで研究グループは、活性イオウ物質が活性酸素に対し、どのように作用をするのか解析。その結果、活性酸素を消去することで、生体内で極めて高い抗酸化活性を発揮することを発見。さらに、細胞にCBSやCSEの遺伝子を導入して活性イオウ物質を大量に作らせると、細胞が活性酸素の毒性によって障害を受けず、強い酸化ストレス抵抗性を獲得することが確認されたという。

酸化ストレスに関連する疾病の診断、予防・治療法確立に期待

活性酸素が体内で過剰に働くと酸化ストレス状態を引き起こし、様々な疾患が発症することが知られている。今回の研究結果は、生体内の活性イオウ物質が体内で活性酸素の働きをコントロールする重要な因子であることを解明したものであり、今後、酸化ストレスに関連する疾病である、感染・炎症、がん、国民病である動脈硬化症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や、アルツハイマー病など神経難病の新しい診断法、予防・治療法の確立に貢献することが期待されるとしている。(木村彰男)

▼外部リンク

東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/04/

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