ダイエット用のサプリや、エネルギードリンク、ハーブを使った健康飲料などで、肝臓に障害が出るという報告が相次いでいます。今回、サンディエゴで行われた78回アメリカ消化器学会（American College of Gastroenterology）の年次総会で話題に上りました。
52歳の女性が、救急外来を受診しました。症状は1週間にわたる嘔吐と黄疸。検査の結果、肝臓は壊死してしまっている部分すらあり、肝臓移植を余儀なくされました。この女性は、3週間の極端な食事制限の後に緑茶エキス配合のサプリを2日にわたって服用していたのです。緑茶エキスは、多くのダイエット関連商品に用いられている成分です。
生理に関するトラブルを抱える人に効果的とされる、ブラックコホシュのサプリについても注意が喚起されています。40代の女性が黄疸を訴えて外来受診をしたものの、原因を突き止めるのに難渋しました。実はこの女性、症状が出始めたころからブラックコホシュのサプリを生理痛対策に服用していたことが分かり、このサプリの服用を止めたところ、症状が速やかに改善したという報告があるそうです。
トラブルに見舞われているのはサプリを服用する女性だけではありません。急性アルコール中毒の疑いで受診した36歳の男性は、サプリは使用していませんでしたが、ほぼ毎日エネルギードリンクを飲んでいました。この成分が徐々に肝臓に障害をもたらしていましたが表面上はわからず、短時間に多くのアルコールを摂取したことで、症状があらわれて明らかになったのです。
専門家は、消費者が十分な知識を持っていなくても、簡単に購入できてしまうのがサプリやドリンク剤の怖いところだと指摘します。自然の効果をうたうハーブ製品では、特に警戒心が薄れる傾向にあるようです。
その日の体調や、持病、毎日飲んでいるお薬などが、サプリやドリンク剤に対して、思いがけない働きかけをしてしまい、体に負担をかけることもあります。健康管理のためのサプリが、健康に悪影響をもたらすことがないよう、必要に応じて医師や薬剤師などの専門家に相談する姿勢を持つようにしましょう。（唐土 ミツル）
▼外部リンク
Herbal and Weight Loss Supplements, Energy Drink Associated with Liver Damage and Liver Failure: Four Case Reports
http://gi.org/media/
American College of Gastroenterology
http://gi.org/
