医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 横浜市立大学などの研究グループ アルツハイマー型認知症発症のメカニズムを発見

横浜市立大学などの研究グループ アルツハイマー型認知症発症のメカニズムを発見

読了時間:約 1分15秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年09月18日 AM10:25

脳内に蓄積するアミロイドベータ

横浜市立大学学術院医学群 山下直也助教、五嶋良郎教授らは、アルツハイマー型認知症の原因分子のタンパク質が、別のタンパク質のリン酸化を引き起こして脳内に蓄積することで認知機能が低下することを発見したと発表した。

この研究は、名城大学、富山大学、早稲田大学、理化学研究所との共同研究による成果であり、 先端医科学研究センターが推進している研究開発プロジェクトの成果の一つだという。

(画像はプレスリリースより)

アルツハイマー型認知症の原因はまだ十分に解明されていないが、タンパク質のアミロイドベータが脳内に蓄積することが原因とする説が有力である。また、アルツハイマー病の患者の脳内にアミロイドベータに加えて、リン酸化修飾という変化を受けたタンパク質のクリンプが多く蓄積していることが報告されている。クリンプは、脳内で神経回路を形成するときに神経細胞の形や向きを決める働きをもつ。

クリンプのリン酸化を抑える

研究グループはクリンプのリン酸化修飾を起こさなければアミロイドベータの効果が消失するのではと考えた。そこでリン酸化修飾が起きないように遺伝子を改変したマウスを調べた結果、アミロイドベータが抑制しているシナプス伝達効率の上昇効果が全く認められず、アルツハイマー病の原因を引き起こすアミロイドベータの学習記憶を抑制する効果がこのマウスでは見られないことがわかったとしている。

次にアミロイドベータを投与した普通のマウスと併せてテストしたところ、クリンプのリン酸化を起こさないマウスではアミロイドベータの認知機能の低下が全く見られなかったという。

今回の研究で、アルツハイマー型認知症の原因分子であるアミロイドベータがクリンプのリン酸化修飾を起こすことが明らかになった。さらに、リン酸化クリンプの抑制がアルツハイマー病の発症や進行の阻止に有効であることが示唆されたと報告している。(馬野鈴草)

▼外部リンク

横浜市立大学 プレスリリース
http://www.yokohama-cu.ac.jp/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 小児COVID-19、罹患後症状の発生率やリスク要因を明らかに-NCGMほか
  • CDK4/6阻害薬と顎骨壊死との関連を解明、医療ビッグデータで-岐阜薬科大ほか
  • 急性骨髄性白血病の正確な予後予測につながる遺伝子異常を発見-京大ほか
  • うつ病患者、「超低周波変動・超微弱磁場環境治療」で抑うつ症状が改善-名大
  • 食後インスリン分泌に「野菜を噛んで食べること」が影響する機序解明-早大ほか