医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 肥満はなぜ自己免疫疾患をも招くのか

肥満はなぜ自己免疫疾患をも招くのか

読了時間:約 1分3秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年04月09日 PM08:13

肥満で自己免疫疾患が発症するメカニズム

東京大学疾患生命工学センターの研究グループは、肥満に伴って発症する糖尿病や動脈硬化に関わるタンパク質AIM (Apoptosis Inhibitor of Macrophage)が自己免疫疾患の発症でも重要な役割を持つことをつきとめた。

(画像はWikiコモンズを利用)

自己免疫疾患は体の細胞を攻撃する抗体(自己抗体)ができ、最終的に臓器に炎症が生じて機能が損なわれてしまう疾患だが、肥満に伴う疾患群の一つとされている。たとえば甲状腺機能低下、インスリン分泌不全、不妊症などはいずれも肥満によって発症する。しかしそのメカニズムはわからなかった。

同グループはこれまでに血液中のAIMの量を制御することで肥満の進行を抑え、糖尿病や動脈硬化を抑制する可能性を提示してきた。

AIMの制御で自己免疫疾患を抑制

肥満が進行すると血液中の脂肪酸の増加で免疫細胞は活性化、免疫グロブリンIgMが増加する。これが過剰になると脾臓で自己抗体を作る悪玉の免疫細胞が生み出される。AIMは血中でこのIgMに結合して脾臓で長時間働ける支援をする。すると肥満でIgMが増加してもAIM量が少なければ脾臓でIgMは機能しない。悪玉の免疫細胞は増えないことを実証した。

今回、肥満に伴う自己免疫疾患の発症機序を明らかにし、脂肪を融解する血液中のタンパク質AIMが中心的に働くことを発見した。過度の肥満でも血液中のAIMの量を抑えれば糖尿病などと同じく自己免疫疾患も抑制し得ると示したことから、AIMは肥満に伴う幅広い疾患の統一的な治療のターゲットになると考えられる。(馬野鈴草)

▼外部リンク

東京大学プレスリリース
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/

このエントリーをはてなブックマークに追加
TimeLine: ,
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 小児COVID-19、罹患後症状の発生率やリスク要因を明らかに-NCGMほか
  • CDK4/6阻害薬と顎骨壊死との関連を解明、医療ビッグデータで-岐阜薬科大ほか
  • 急性骨髄性白血病の正確な予後予測につながる遺伝子異常を発見-京大ほか
  • うつ病患者、「超低周波変動・超微弱磁場環境治療」で抑うつ症状が改善-名大
  • 食後インスリン分泌に「野菜を噛んで食べること」が影響する機序解明-早大ほか