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被災地の地域医療、包括ケアの連携を模索

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2013年03月08日 AM09:13

釜石市の在宅患者が震災後に増加

釜石ファミリークリニック(院長 寺田尚弘)が受け持つ在宅の患者は市内を中心として、現在は約320人である。その患者を院長を含む5人の医師が分担をして、24時間体制の訪問診療を行なっている。

一時期の在宅の患者は東日本大震災の際に犠牲になった人や、震災後に市外に転居したということで、震災前に比べると約100人減少した。しかし2年経った現在で新たに約100人増加しているため、震災前とほぼ同じ人数を抱えている。

釜石市の高齢化率は33.5%と非常に高い。しかし震災によって高齢者の住宅の多くが失われ、コミュニティの場もなくなってしまった。また一緒に生活している家族が職を失っている場合には、収入が減ってしまう。その分の収入を得るために今まで介護をしていた家族が働きに出てしまうため、家庭での介護力が低下している。


寺田院長は「在宅ニーズが高まる背景を考えると内心は複雑であるが、体調や生活環境が変化したことによって震災前のように、通院できなくなった高齢者が増えている」と述べている。また震災によって身近な人を亡くしたり、生活再建の先行きについての不安、ストレス、孤独感など、健康を損なう要因が多くなっている。

(この画像はイメージです)

高齢者を見守るまちづくりが必要


釜石市は昨年7月に、国の在宅医療連携拠点事業を受託し、釜石医師会と市などのメンバー6人を中心として「チームかまいし」を発足。在宅医療の推進を目指して医療、介護、福祉など多様な分野の連携を企画している。

現在は震災直後の混乱期が過ぎているため、医療、介護、福祉などの「地域包括ケア」の構築が重要となっている。
チームかまいしのメンバーも加わる「地域包括ケアを考える懇話会」は2月27日に、復興住宅の在り方などを野田武則釜石市長に対して提言を行った。
提言では、コミュニティーの再生や生きがいづくりの場に注目した復興住宅を示している。
高齢者を多くの目で見守ることが「復興まちづくり」そのものとなる。

▼外部リンク

釜石ファミリークリニック
http://www4.ocn.ne.jp/~ishikai/hospital/clnc32_kfamily.html

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