エイズへの取り組みに劇的な結果が
抗レトロウイルス薬による集中的なエイズ撲滅キャンペーンが、南アフリカの一州で顕著な効果を上げたと、22日、専門誌Scienceに2つの研究論文が掲載された。
南アフリカ共和国の東南部に位置するクワズール・ナタール州では、このキャンペーンによって、州全体の平均寿命が11年延び、更なるHIV感染へのリスクを著しく下げた。

(Wikipediaより引用)
エイズウイルス感染のリスクの低下
1つ目の研究では、2004年から2011年にかけて、抗レトロウイルス薬キャンペーンが行われている地域の、健全な約17000人をモニターし、エイズ感染率を導きだした。
結果は、抗レトロウイルス薬が普及していない他の地域に比べて、健康者がエイズに感染した確率が38%も低かったことが分かった。
11年の平均寿命の延び
もう1つの研究では、抗レトロウイルス薬療法に費やされたコストと、平均余命が何年間長くなったか、の数値を使って、1年間の余命に対する費用効率が1593ドルであると計算した。2011年の南アフリカ国民1人あたりの国内総生産(GDP)は約11000ドルであり、世界保健機関(WHO)の見解によれば、このキャンペーンは非常にコストパフォーマンスが高い、ということになる。
このキャンペーンが開始される1年前の2003年には、約10万人いる全住民の29%がエイズに感染しており、死因の約50%がエイズによるもので、当時の平均寿命は49歳だった。2011年には、平均寿命は60.5歳まで改善された。(長谷川優喜)
▼外部リンク
Science:High Coverage of ART Associated with Decline in Risk of HIV Acquisition in Rural KwaZulu-Natal, South Africa
http://www.sciencemag.org/
Science: Increases in Adult Life Expectancy in Rural South Africa: Valuing the Scale-Up of HIV Treatment
http://www.sciencemag.org/
Los Angeles Times: Anti-HIV drug effort in South Africa yields dramatic results
http://articles.latimes.com/
NPR: Treating HIV Patients Protects Whole Community
http://www.npr.org/