約5年にわたる大規模な追跡調査研究で明らかに
オリーブオイルやナッツを多用することで知られる、南欧沿岸部の地中海料理。これまでにも健康を促進する効果のあるものとしてしばしば注目されてきたが、科学的にもその効果が確かなものとなってきた。
25日の医学誌「The New England Journal of Medicine」(NEJM)のオンライン版に掲載された研究報告によると、地中海料理の摂取が、心筋梗塞や脳卒中など、重い心血管疾患のリスクを大幅に低下させることが分かったという。
調査は、Ramon Estruch教授らの研究チームが行ったもので、スペインの心血管疾患となるリスクが高い7447人を対象に、約5年にわたる追跡調査を、科学的にも厳格な方法で行っている。
(画像は参考イメージ)

効果の高さに驚き!理想のヘルシー食
調査対象者は、参加時に55歳から80歳(うち57%が女性)の糖尿病や喫煙、高血圧、コレステロール値における異常など、心血管疾患のリスクを抱え、それぞれ自分の持つリスク要因の治療を受けている人が大半であったという。ほぼ半数が降圧剤を服用し、40%以上の人がコレステロールを減らす薬のスタチンを服用していたとされている。
まず研究チームは、参加者を3つのグループに分けた。2つのグループでは、地中海料理を食べ、1つのグループでは、1日にスプーン4杯のエキストラバージンオリーブオイルを摂取するようにした。一方、もう1つのグループでは、クルミやアーモンド、ヘーゼルナッツといったナッツ類を毎日30g摂取するようにしたそうだ。そして、第3のグループはコントロール群として、地中海料理の代わりに低脂肪料理を摂取するよう食事アドバイスを行って実践させた。
調査に正確を期すため、地中海料理を食べる2グループでは、オリーブオイルとナッツの摂取を確認するバイオマーカー計測なども実施したそうだ。
すると、調査対象者における心筋梗塞や脳卒中など、心血管疾患が原因の死亡発現リスクは、エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツを積極的に摂取した、地中海料理を食べる2グループの方で、脂肪を減らすアドバイスを受けたコントロール群に比べ、それぞれ30%低いリスク、28%低いリスクになることが確認されたという。とくに脳卒中におけるリスク差は、統計的にも明確に有意とされている。
研究グループでは、高いリスクを抱えている人においても、エキストラバージンオリーブオイルやナッツ類を加えた地中海料理が、主要な心血管疾患の重大なイベントリスクを低減することにつながることが示されたとして、ヘルシー食としての地中海料理を改めて見直す必要があるとまとめている。(執筆:Yuk.)
▼外部リンク
The New England Journal of Medicine 該当研究報告
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/