クロルヘキシジンを含ませたタオルで清拭
消毒薬であるクロルヘキシジンを含んだ使い捨てタオルを、集中治療室に入院している患者の清拭に使うことによって、多剤耐性菌の定着や感染、または院内血流感染症を減少させることができることを、米McGuire Veterans Affairs Medical CenterのMichael W. Climo氏らが発表した。論文は、NEJM誌2013年2月7日号に掲載されている。
病棟において、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やバンコマイシン耐性腸球菌など多剤耐性菌の感染を抑制する方法が、これまでにいくつも提案されている。しかしそのほとんどが、大勢の医療従事者の協力を必要としているため、医療機関での徹底は難しい。
院内血流感染症というのは、血管カテーテルの挿入部や皮膚の傷から細菌が血流に入り発生する。そのため皮膚を消毒すれば発症する確率は低下する。しかし消毒薬のクロルヘキシジンは、薬剤耐性を持っているブドウ球菌や腸球菌に対しても有効である。そのうえ皮膚に残って長期間、殺菌効果が続くというメリットがある。そのため著者らは、清拭に用いるタオルを使って効果を検討した。

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消毒薬を含ませたタオルで清拭をすると効果がありと判明
今回の研究では、清拭に2%クロルヘキシジンを染みこませたタオルを用いたのだが、及ぼす影響を評価するために多施設で試験を行った。対象としては、6病院において8つの集中治療室と骨髄移植ユニットの1カ所である。2%クロルヘキシジン含浸使い捨てタオルと、抗菌薬を含まない同様の使い捨てタオルを用いて毎日清拭を実施し、経過を観察した。
施設で行われた研究によって、入院患者にクロルヘキシジンが含まれているタオルを使って清拭を毎日行うと、院内での血流感染や多剤耐性菌の感染を予防することができると判明した。
また皮膚に関する反応についても調べたが、どの施設でも重篤な皮膚反応が出たという報告はなかった。軽度の皮膚反応は患者の3.4%に見られたが、皮膚反応において清拭の実施との関連性は認められなかった。
▼外部リンク
NEJM誌2013年2月7日号
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1113849#t=abstract
国内で入手可能な「クロルヘキシジン」系消毒薬
http://www.packageinsert.jp/search/2/クロルヘキシジン