リウマチ患者がどの治療を選択すればいいのか
メトトレキサートに加えて生物製剤を使用してから、疾患活動性が下がった関節リウマチ患者は、その後生物製剤を中止しても影響はないのだろうか。オーストリアVienna大学のJosef S Smolen氏らがこの疑問を検証するために試験を行った。
その結果、患者がエタネルセプトという生物製剤の使用を中止しメトトレキサートのみを継続した場合、疾患活動性が再上昇する可能性が高くなるということが分かった。その一方、標準用量または半量のエタネルセプトの併用を続行した場合は、低疾患活動性を維持できる可能性が高いことが示された。この試験についての論文は、Lancet誌電子版に2013年1月17日に掲載されている。
この治療を行う場合の重要な目標というのは、臨床的な状態の維持、または、低疾患活動性を維持することである。関節リウマチ患者の中で最も多いのは中疾患活動性の患者である。しかし患者がこの目標を達成するためには、どの治療を選択すれば良いのかということに関する情報は不足しており、判断しづらい。

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薬剤の投与を続けた場合には良好状態を維持できると判明
寛解または低疾患活動性を達成するためには、生物製剤を使用すると良いということは知られているのだが、これらの薬剤は高価である。国によっては、深刻な患者のみに適応できるという場合もある。ひとたび治療目標が達成されると生物製剤を減量、または中止してもその状態が維持できるかどうかは明らかではない。そのため生物製剤をどのように使うと効果があるのか、ということについて研究をする必要があった。
そこで著者らは、中疾患活動性の患者にエタネルセプトを適用し、疾患活動性が下がった後に投与を中止、または用量を半減した場合、疾患活動性が低い状態が維持できるかということを検証するために、無作為化試験を行った。
その結果中疾患活動性の患者がエタネルセプト投与で低疾患活動性になったとしても、エタネルセプトを中止すると疾患活動性は再上昇する。そして中止せずにそのまま標準用量または半量のエタネルセプトとメトトレキサートの併用を続けると、低疾患活動性を維持できる患者の割合が多くなるということがわかった。
▼外部リンク
Lancet誌電子版 2013年1月17日
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/