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厚労省 ダニ媒介性疾患「重症熱性血小板減少症候群」国内初確認を発表 患者は死亡

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2013年02月01日 AM09:13

日本中どこででも発生する感染症

厚生労働省は、2009年3月から7月にかけて中国で集団発生した原因不明の疾患で、その後、このウイルスの存在が明らかになったダニ媒介性疾患「(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)」の症例を、日本で始めて確認したと発表した。

SFTSは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新規ウイルス、SFTSウイルス(SFTSV)、によるダニ媒介性感染症。

患者が発生したのは、山口県。海外渡航歴がない成人患者で、日本でウイルスに感染したと考えられるが、詳細な感染経路については分かっていない。

SFTSウイルスを媒介すると考えられるマダニ類は日本中、広く分布しており、全国どこにおいても発生し得る感染症で、

・SFTSを有するダニに噛まれる
・患者血液や体液との直接接触
・ウイルス血症を伴う動物との接触

などで感染する可能性が有り得る。

(「シカのマダニ」 Wikiメディアより引用)

医療機関に情報提供を求める

SFTSは、6日から2週間の潜伏期間の後、

発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳、咽頭痛)、出血症状(紫斑、下血)

などの症状が現れ、致死率は10%を超える。治療法はなく、対症療法のみ。予防法としては、

・野外でダニに咬まれないようにする。
・感染者の血液、体液、排泄物との直接接触を避ける

が上げられる。

なお、厚生労働省では、この発表とあわせて、医療機関に対し情報提供を呼びかけている。もし

38度以上の発熱と消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血のいずれか)を呈し、血液検査所見で血小板減少(10 万/mm3未満)、白血球減少(4000/mm3未満)及び血清酵素(AST、ALT、LDH のいずれも)の上昇が見られ、集中治療を要する、若しくは要した、又は死亡した者。
(ただし、他の感染症によること又は他の病因が明らかな場合は除く。)

などの症状を訴える患者を診た場合は、最寄りの保健所、または、国立感染症研究所問い合わせ窓口(info[アットマーク]nih.go.jp)に連絡して欲しいとしている。*[アットマーク]は@に置き換えて送信。

SFTSの流行期はダニの活動が活発化する春から秋と考えられている。今後、この感染症に対する予防方法を周知徹底することが重要であると言える。

▼外部リンク

1月30日付:中国で近年報告されている新しいダニ媒介性疾患の患者が国内で確認されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002u1pm.html

国立感染症研究所:<速報> 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者
http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-iasrs/

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