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ニコチンにより脳内のグルタミン酸受容体mGluR5が減少

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2013年01月05日 PM09:13

喫煙が脳に与える影響

喫煙は、考えていたよりも脳内に強い影響を与えることが判明した。スイス・ベルン大学の研究者は、喫煙によって脳内のグルタミン酸受容体mGluR5の数が減少することを、米国科学アカデミーの「Proceedings」に12月17日、報告した。

世界保健機関(WHO)によると、タバコの主成分であるニコチンはアヘン類、大麻、コカインと同列の依存性薬物であり、現喫煙者の7割がニコチン依存症といわれている。

ベルン大学のハスラー教授は、今回の発見がニコチン依存症のための新薬開発に役立つとみている。

(画像:ベルン大学のプレスリリースより引用)

グルタミン酸の役割

グルタミン酸は、脳の中で最も重要な神経伝達物質の一つで、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。グルタミン酸は神経細胞の細胞膜にある特定の受容体と結合。それにより、細胞内での反応が始まる。この受容体の一つがmGluR5(代謝型グルタミン酸受容体5)である。

ニコチン依存症は一種の学習過程である。それゆえに、学習などの機能に重要な役割を果たすグルタミン酸は重要なカギを握るとみられている。

喫煙者・元喫煙者のグルタミン酸受容体は非喫煙者よりも少ない

研究ではグルタミン酸システムを調べるため、喫煙者、元喫煙者、非喫煙者それぞれ14人に対し、mGluR5に特異的に結合する放射性マーカーを注入した。

陽電子放射断層撮影(PET)を通じ、グルタミン酸受容体は被験者のどこに、どの程度あるか特殊カメラで判定した。

その結果、喫煙者は非喫煙者と比較して、グルタミン酸受容体mGluR5が平均で20%少なかった。前頭葉下部や大脳基底核などの個々の脳領域においては最大で30%も少なかった。平均で約2年禁煙している元喫煙者では、10~20%の減少がみられた。

喫煙者のグルタミン酸システムおける変化は大きく、予想よりもはるかに広く分布されていた。システムの回復も、思っていたよりも長くかかることも分かった。

この研究結果は、グルタミン酸受容体mGluR5の損失が、依存症の発展に重要な役割を果たしていることを示している。だが、正確な関連性はいまだ不明である。

▼外部リンク

ベルン大学のプレスリリース
http://www.kommunikation.unibe.ch/

米国科学アカデミーの「Proceedings」
http://www.pnas.org/

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