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印刷会社従業員の胆管がん死亡リスクは平均の2900倍にもなる事が新たに判明

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2012年09月23日 AM09:00
14人が「」を発症し、7名が死亡

大阪市中央区の印刷会社の従業員らが相次いで「胆管がん」を発症しているニュースが大きく取り上げられて以来、東京や宮城などの印刷業社でも、同じように従業員が「胆管がん」を発症し、死亡していたことが分かってきました。

大阪の会社では、印刷機のインクの洗浄作業に携わっていた従業員の男性14人が胆管がんを発症し、そのうち7名が死亡しています。その死亡率はこれまで、平均のおよそ500倍と言われてきましたが、 熊谷信二准教授の研究グループの調査により、2900倍にもなることが判明したそうです。

研究グループでは、この調査結果について、2012年9月21日に開催される「日本胆道学会」で報告するとしています。

(この画像はイメージです)

一刻も早い労災認定を

「胆管がん」の発症の原因としては、不十分な換気と、化学物質を含んだ洗浄液が考えられていますが、熊谷准教授らは、この2つの条件が重なる期間に、1年以上働いていた従業員62名のうち、6人が「胆管がん」で死亡したと確認。死亡率を計算したところ、平均的な日本人男性のおよそ2900倍になりました。

この調査結果から、熊谷准教授は、

「仕事が原因の可能性が極めて高く、国は早急に労災を認めるべきだ」

と語っています。

厚生省 第一回検討会を開催

一方、厚生労働省は「第1回 胆管がんの労災認定に関する検討会」を、9月6日に開催。個別の労災請求事案に係る業務と胆管がん発症との間の因果関係について専門的な見地から検討していくとしています。

厚生労働省によると、すでに労災が申請されている「胆管がん」以外で、情報として厚生労働省に届いているには、22事業場で22人。そのうち、12名は死亡しているとのことです。

現在厚生労働省では、「職業性胆管がんの相談窓口」を設置し、相談を受け付けていますが、8月末までに、すでに全国から652件の相談が寄せられている状況となっています。

▼外部リンク

産業医科大学
http://www.uoeh-u.ac.jp/JP/index.html

日本胆道学会
http://www.tando.gr.jp/

ご参考: 印刷業 に対する有機溶剤中毒予防規則等
に関する通信調査の結果(速報 )
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/

ご参考:職業性胆管がんの相談窓口
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/

NHK WEB NEWS
http://www3.nhk.or.jp/news/html/

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