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欧州市場を支える臓器売買を追え!

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2012年06月14日 PM01:00
臓器市場に異変!

6月1日付の米紙、ニューヨークタイムズのインターネット配信版にて、臓器売買市場の世界地図が大きく様変わりしている現状が伝えられた。

Image:Spec-ta-cles

臓器売買市場が変容した背景とは?

臓器売買と言えば、かつては、中国、インド、ブラジル、フィリピンが主流だった。しかし今、欧州財政の不安が再燃している影響で、臓器売買の闇市場は、バルカン半島にある貧しい国々、ギリシャ、スペイン、イタリア、セルビアへと広がりつつある。

実例~ベオグラードに住む夫婦の場合~

セルビア共和国の首都ベオグラードに住むパブレンコ・ミロコブさん(50)は、以前、食肉加工工場で働いたが、現在は失業中。職を求めてウェイターに応募したが、不採用だった。最近亡くなった、父の墓石1つすら買う余裕もなく、家の電話は不通で、家は電気代を節約して明りを消し、暗闇の中で生活をしている。1日1回の食事は、パンとサラミだけだ。

半年前に、夫妻の臓器をネット広告で売りに出した。その広告には「腎臓売ります!血液型はA」と書いた。ある仲介業者がミロコブ夫妻の腎臓を、1体30,000ユーロ(日本円で約300万円)で購入してくれると連絡をくれたが、次にミロコブさんが連絡を取ろうとすると、連絡は途絶えた。

ミロコブさんは嘆く。

「手術は怖くもないし、法を侵すことに恥も感じない。それよりも子ども2人を飢え死にさせる事の方がもっと怖い。」
臓器販売を促進させるインターネット広告

インターネットでは、臓器販売業者による広告が溢れている。腎臓をはじめ、髪の毛、精液、母乳などあらゆるものの販売広告が、インターネットで目に留まる。肺の販売価格は250,000ユーロ(日本円で2,500万円)にもなる。セルビアでの臓器の取引は、他国と同じ例外なく違法行為で、禁固10年の刑に値する。

セルビアでは、合法的に腎臓移植受けるには長蛇の列で、患者3人につき、1人しか移植を受けることができない。だからこそ、人々の絶望的な状況が臓器売買の市場を広げている。臓器売買の仲介料は腎臓1体につき100,000ユーロ(日本円で1,000万円)で、加えて、手術代や往復の旅費も必要だ。

信憑性のある統計があるわけではないが、カリフォルニア州バークレーにある人権団体の追跡調査によると、毎年、15,000体から20,000体もの腎臓が違法に売買されている。アメリカでは毎年施術される臓器移植のうち、5%から10%の臓器が、結果的には臓器売買によるものだ。

臓器を売らざるを得ない人々の悲痛な叫び

ミロコブさんは憤る。

「現状の欧州財政の危機に直面して、旧ユーゴスラビアを懐かしく感じる。社会主義国家時代は、無償で教育も受けれたし、終身雇用だった。たくさんの腎臓が売買されるなんて、聞いたこともなかった。なんて不名誉なことだ!私ら国民が自分の臓器を売ることで数が減っていくなんて。劫濁(こうじょく)の時代だって、そんなことは、けっして考えもしなかった。」

(編集部翻訳担当 渡邉充代)

▼外部リンク

ニューヨークタイムズ
http://www.nytimes.com/2012/06/01/world/europe/european-crisis-bolsters-illegal-sales-of-body-parts.html?_r=1

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