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訪問「診療」か「看護」か

2017年11月24日

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超高齢化・多死社会化に伴い、特に都市部においては在宅医の不足が深刻化すると予測されていますが、個人的には訪問診療よりも訪問看護をより充実させていくべきではないかと感じています。

終末期は医療依存度が高くなる、と多くの方が考えていらっしゃいますが、人生が最終段階に差し掛かると、医療によって改善できる範囲は徐々に限定されていきます。がんの一部や重症心不全など、確かに医療が関わり続けなければならないケースも存在しますが、多くの場合、医療の役割は小さくなっていきます。

一方、相対的に増大していくのはケアの役割です。
特に看護師は、医療とケアをつなぐとともに、その両方の役割を担うキーとなる職種だと思います。

訪問看護アクションプラン2025より
クリックで拡大表示、出典:『訪問看護アクションプラン2025』http://www.jvnf.or.jp/2017/actionplan2025.pdf)

しかし、日本の訪問看護師は、看護就業総数164万人に対しわずか4万人。人口あたりの就業看護師数は北欧の福祉先進国と比べてもさほど遜色はありませんが、訪問看護(地域看護)の領域で活躍する看護師は、フランスの3分の1、オランダの7分の1、そしてスウェーデンの10分の1。

高齢化の状況を見ても圧倒的に不足していると思いますし、在宅死率と人口あたりの訪問看護師数には相関もありそうです。

日本の在宅医療の制度は、仕組みとしては国際的にもかなり完成度が高いと思いますが、在宅医だけでは看取りが支えられないことは明らかです。
訪問診療と訪問看護、介護サービスがより適切に役割分担しつつ、保険外の地域のリソースも上手に活用していくためには、在宅ケアチームのあり方そのものを少し見直す必要もあるように思います。
また、高齢者・看取りだけでなく、もう少し俯瞰的な地域全体のヘルスケアを考える上でも、看護師の潜在的な可能性は大きいと感じています。

佐々木淳
医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール
筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。