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薬局の「ファインプレイ」を評価できない理由って何だろう?

2017年10月31日

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こんな私でも時々薬局のカウンターに立って患者さんに薬を交付しています。幸いながら良いコミュニケーションを続けてきた歴史のある薬局なので、患者さんやご家族の方はいろいろな話をしてくださいます。

でも中にはちょっとした主治医とのコミュニケーションに不足したところがあって、「今日は◎◎と言ったのに▲△が出ていないわねえ どうしちゃったのでしょうね?」という事例に遭遇したりします。

そこで薬剤師的には主治医と患者さんとのやりとりや背景を想像しながらベターな答えを探す努力をします。薬局で日常的に行われるやり取りを紹介します。

 

好事例(説明が少々不足又は聞き漏れのカバー)

「体温が37℃台前半なら、体の中の抵抗力が頑張っているので無理に熱を下げない方が良いと考えて、今日は様子見をしているのではないでしょうか?」

 

悪い事例

「先生も人間ですから間違いはありますよ。確認のため電話してみましょうか?多分変わらないと思いますけど。また返事が来るのは20分ぐらいかかるかもしれません。それでも待てますか?」

 

このように何でもかんでも疑義照会して医師に確認するというのも円滑な診療を遮ることになるので、薬剤師として経験に基づく判断を随時行っているというわけです。本来患者さんとのやり取りの中で、薬剤師がどういう対応をしたのかについて簡潔にフィードバックする仕組みが必要なのですが、現時点では(トレーシングレポート)という文書での提供がわずかに行われているのみです。

患者さんが薬について困っている問題点について、薬剤師が記録をしたものの要点を自動的にまとめ、次回受診時までに主治医に自動送信する。またはお薬手帳をもっと活用する仕組みを取り入れるなど、今の我々が持っているツールや技術力であっという間に出来てしまうことばかりではないでしょうか?

私達のゴールは疑義照会で本来不要な薬を減らすのでもなく、必要な薬の漏れを追加するのでもなく、保険医療においては適正な使用情報を普及させ、患者さんを健康被害から守ることのはずです。健康保険上の診療報酬の点数がついてもついてなくても、薬剤師として当然と思われることを推進していく。それが国家資格である薬剤師の本当のファインプレイであると信じています。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。