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栄養ケアを、社会のインフラにしたい

2017年9月21日

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「社会栄養学」

高齢者医療・在宅医療の現場にいて思うのは、栄養ケアの重要性。
食べることは人生の喜び、そして栄養管理は健康の基盤。
だからこそ在宅栄養サポートにも積極的に取り組んできたのですが、低栄養や摂食障害の患者さんにお会いするたび「もっと早い段階で支援できていたら・・・」と常に思ってしまいます。
病気や障害が顕在化してしまってからだと、低栄養からの回復はどんどん難しくなっていくし、QOLや予後を回復できる余地も少なくなっていくのです。

大切なのは日ごろからの健康管理。
そのためには適切な知識を持ち、主体的に健康管理をしていけるよう、サポートしていくことが大切です。
しかし、日本では病気にならないと医療サービスは利用できません。「フリーアクセス」は病気になってからの話であり、健康な人たちに医療専門職がアプローチできる機会は限られているのが現状です。

WAVES(We Are Very Educators for Society)は、健康人の栄養状態の維持・向上と、高齢者の地域医療福祉基盤を確立する医療者による社会貢献事業、そしてWAVES JAPANは世界最大の栄養学会JASPENの東口先生が率いる医療専門職の集団です。各地で低栄養やサルコペニアに対する啓発事業を展開しています。

台風18号が接近し、雨が降りしきる中、全国から集まった120名の医療専門職。
まずは東口先生から直々に最新の栄養ケアに関するレクチャー、そしてインストラクターとしての試験を受け、出雲大社の本殿でお祓いを。神様にご挨拶をさせていただいていから、出雲大社の松並木で参道を行く方々の身体機能計測や栄養管理のアドバイスなどを行いました。

僕はアンケート斑に配属され、6歳から96歳までの方の生活習慣の聴き取りを担当しました。高齢者のみならず、若い世代の方々もたくさん参加してくれました。特に若い世代の人たちには、自分たちの将来の健康のこと、そしてご両親や祖父母などご家族の健康のことも含め、お話をさせていただきました。一人でも多くの方が栄養や筋力の大切さを理解してもらえたら、そして、ご家族を含めて適切な健康管理の方法を身に着けてもらえたらと思います。

余談ですが、当日、参拝中に突然心肺停止された市民の方もいましたが、メンバーの医師たちの迅速な対応で一命をとりとめることができたとのこと。出雲の神様の思し召しでしょうか。
ミッションが完了する頃には雨も上がり、懇親会では全国から集まった専門職の方々と有意義な意見交換ができました。

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栄養はわたしたちの健康をつくり、いのちを養います。
だれものいのちが輝くものであってほしい。
だれもがその人が望む人生を送ってほしい。
栄養を幸せのちからに。
わたしたちは栄養で人を幸せにするお手伝いをします。
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超高齢社会だからこそ、高齢者はもちろん、子供たちや若い世代の将来の健康を守ることも大切です。
市民に直接アプローチできるこのWAVESという取り組みはきっとじわじわと社会に浸透していくと思いますし、健康な人たちと対話することで、私たち医療職のあり方を別の角度から考える機会にもなります。

栄養ケアを社会のインフラにしていく。
医療専門職のみなさん、一度参加してみませんか?

[参考:外部リンク]一般社団法人WAVES JAPAN 公式サイト

佐々木淳
医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール
筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。