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トロミはあくまで食品です。

2017年8月28日

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80代前半の女性 歳相応の嚥下力の低下あり某施設にご入居の方。訪問中、ケアマネさんから便秘の件について相談がありました。

訪問で1時間ほど、施設の食事風景をずーっと目を光らせていたら、アクエリアスにトロミ材でドロドロにし、それにお薬を入れてのんでいるのを発見!
トロミ材で服薬ゼリーの代わりとしているよう。この事実をケアマネさんに聞いたら、嚥下障害の入居者全員にこの方法で服薬さへているとのこと。誰の指示か?と伺うと伝統行事になってたとのこと。

うーーーん、便秘薬増やしても、便秘が良くならないんですけど・・・。
あの〜濃いトロミアクエリアスを服薬ゼリーのように飲ませてますけど・・・。

嚥下だけ見てたらあきまへん。
飲めりゃ〜いいってもんでもないし 栄養と同じで消化吸収まで考えないとね。
実は、トロミ剤と一緒だと、溶けやすい酸化マグネシウムの薬が便中まで溶けないことがあります。そうなると薬効は・・・(><)飲んだ意味が無くなるよ〜…。

トロミ材はあくまで食品です。薬の溶解性については考慮していません。お薬の溶解性はとっても複雑でデリケートです。 薬剤師さんに相談しましょう。
ニューキノロン系抗菌薬(クラビットなど)での薬効が低下するという論文もあります。こちらは他の飲みあわせもあり、効きが悪いとかなり困るので薬剤師さんに確認しないと目も当てられないことになります。ご注意下さい。良く聞かれるのですが、服薬ゼリーは臨床データがあるので大丈夫です。
それから半固形といって、栄養剤にトロミ剤を入れて注入するけど、それもいろいろ気を付けないといけないです。もっとね、とろみ剤の特性を科学的に考えていきましょう。

こちらもご参照ください。

・とろみ調整食品が酸化マグネシウム錠の崩壊と溶出に及ぼす影響
富田隆 他 薬学雑誌135(6)835-840(2015)


・食品用粘度調整剤と鳴下補助剤の薬物動態への影響

森田俊博 他医療薬学37(1)13-19(2011)

・とろみ剤と薬剤間に起こる性状変化の検討
2017 NUTRI YOUNG INVESTIGATOR AWARD受賞
熊木 良太 (昭和大学 薬学部 社会健康薬学講座 地域医療薬学部門)
倉田 なおみ (昭和大学 薬学部 社会健康薬学講座 地域医療薬学部門)
原田 努 (昭和大学 薬学部 薬剤情報学講座 薬剤学部門)
中村 明弘 (昭和大学 薬学部 薬剤情報学講座 薬剤学部門)

 

ところで手前味噌の宣伝で恐縮ですが、来月、今回の内容も含めてセミナーをやります。このセミナーでは食べるという事を多視点でアプローチする構成になっています。

在宅において、食べることにアプローチする上で大事なことは次の3つと考えます。

①10人10色のケースに対する対応力
様々な原因で起こる摂食・嚥下障害、更に在宅では生活に起因するものも多く対応が難しくなると聞きます。これに対して、実際に在宅で訪問診療、栄養指導する中で培われた経験を一緒にお届けする事で、実際に使える知識やスキルを提供します。

②幅広い食形態を知っている事
嚥下食と言えばゲル化材で物性を整え、見た目を良くする事と思われがちですが、ゲル化材が必要なケースは、実際には少なく、ほんの少しの工夫で対応できることが多いと聞きます。よってこのセミナーでは、柔らかい食事、ミキサー食、ミキサー固形食の全てを網羅しています。

③とろみ材やゲル化材の偏りのない知識
各メーカーは自社のとろみ材の良い所ばかりを強調します。よってどれが良いのかわからないという事が起きます。とろみ材やゲル化材の正しい使い方は重要です。どのメーカーの協賛も受けていませんので、正しくとろみ材やゲル化剤を評価する機会を提供します。

参加して頂いた方に多くの視点を獲得して頂き、たくさんの方に美味しいを届けられればと思います。

[詳細]
9月10(日曜日)10時〜16時45分 適時休憩あり
場所 ウィリング横浜 調理実習室
最寄り駅 上大岡駅 徒歩3分

申し込み

http://peatix.com/event/290566/view

です。どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m

 

在宅訪問管理栄養士 森田千雅子
(KAIGOスナック ちかこママ)
<所持資格> 在宅訪問管理栄養士 介護支援専門員
NST(栄養サポートチーム)専門療法士
ホームヘルパー2級 調理師