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かかりつけ薬剤師の目的は、かかりつけであることではない

2017年8月18日

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本年初めより薬局に関するネガティブな報道が続いていますね。とても残念なことですが、とあるチェーン薬局のプレスリリースが、現在の薬局や薬剤師が抱える様々な問題について示唆を与えてくれていると思いますので、取り上げてみます。

[参考:外部リンク]2017年7月13日 日本調剤 プレスリリース
「かかりつけ薬剤師」効果で 薬剤費年間1億円削減へ 日本調剤「かかりつけ薬剤師」を効果検証!

かかりつけ薬剤師の仕事について、量的なデータを世に示した初めての事例だと思います。薬剤師会、保険薬局協会、チェーンドラッグストア協会がまだ診療報酬制度の効果検証の実績をまったく出せていない、という状況とは対照的です。

内容について個別のデータまで把握はしておりませんが、リリースのスピード感とタイミングには敬意を払いつつも、残薬解消だけがかかりつけ薬剤師の仕事ではないのになぁ…と悶々としていた中で、こちらの記事を発見しました。

[参考:外部リンク]2017年8月14日 ダイヤモンドオンライン
かかりつけ薬剤師の効果に疑問、薬剤費削減額の2.7倍のコスト発生

医療ライターの早川さんが指摘したのが上記の内容で、制度の設計としてどうなのだろう?という疑問を投げかけています。

無駄になる可能性のあった医薬品が削減されたことで、患者さんの健康被害を防ぐ意義が裏にあったにせよ、かかりつけでもそうでなくても我々は普通にやっているよね、という反論もちらほら意見が出てきました。

私は、それはそれ、これをきっかけに各薬局の特徴を出したデータがどんどん出てくればいいと思っています。量的・質的な診療報酬制度のありかたについて議論できるエビデンスに繋がっていければよいと考えております。

公的な医療保険で薬剤師の仕事に技術料を設定しているのはおそらく日本だけであり、それを原資に薬局の運営ができる制度設計であることは事実です。また医療に関わる仕事自体の価値も大きく変化してきていて、薬剤師や薬局の仕事も当然変化の渦中にあります。

処方箋調剤を例にとると、指示通り速く正しく薬を取り揃えること(現在のニーズもこれが中心ではあるが)から、少しずつ患者・家族が抱える複雑な問題を考える仕事にシフトしてきていると感じています。その意味で、残薬ハンティングはあくまでもプロセスであって、真のアウトカムは患者・家族を健康被害から守り、安心できる医療を提供することと信じております。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。