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薬局にKPIを設定せよって、何?

2017年3月14日

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KPI設定はあくまでも通過点。医薬分業の質を評価する第一歩です

先日、「患者のための薬局ビジョン実現のためのアクションプラン検討委員会(非公開)」の最終報告が出されました。その中で「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」を薬局ごとに設定しましょうという話になっています。「また訳の分からない経済用語を持ち込んでどうするの?」という現場の考えもごもっともですが、ちょっと解説をしてみますね。

このKPIですが、決して薬局だけに要求されているわけではなく、他の医療分野にも展開が必要とされています。厚労省というより、経済諮問会議から提案されている状況ですね。該当箇所を引用してみます。

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「患者のための薬局ビジョン」に基づき設定する医薬分業の質を評価できる指標の進捗状況(「患者のための薬局ビジョン」 において示す かかりつけ薬剤師としての役割を発揮できる薬剤師を配置している薬局数)

項目⑤

KPI・「見える化」項目の明確化

【検討事項】 ○薬局の定義、数値の把握時期、速報性

【検討後のKPI定義、測定の考え方等】 ○「患者のための薬局ビジョン」においては、かかりつけ薬剤師としての役割として、「服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導」等を挙げているところであり、こうした役割を発揮できる薬剤師を配置している薬局の定義、数値 の把握時期、速報性については、平成28年度にモデル事業等を実施し、患者のための薬局ビジョン実現のための具体的な施策に関する検討を進め、今年度中に明確化。

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以上引用終わり

調剤専科の薬局では、立地条件(病医院からの近接)が最も薬局の経営に影響する状況であるため、薬局ビジョンを厚労省が打ち出しても「笛吹けど踊らず」の状況です。今後もそれは続くと予想されます。

今の日本の診療報酬制度は「出来高制」と「プロセス評価」で構成されます(ただし一部DPC病院に関しては包括なので「アウトカム評価」的かもしれません)。病院における急性期医療(入院)では退院というゴールがはっきりしているので、非常にその点は明快であり、ベンチマーク(水準)設定がしやすい環境にあります。

では薬局ではどうなのでしょうか?処方せん調剤も、結果として患者さんの経過(治癒、軽快、不変、悪化)に関わらず、その調剤行為に点数が付与されています。そんな事情もあり、ほとんどの薬局関係者は病・医院からの物理的な近接性以外の指標について、KPIではなくKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)として考えているように見えます。

 

今までに考えられていた調剤実施薬局のKGI(例)

・処方箋枚数

・調剤点数

・後発品割合

・かかりつけ薬剤師算定数

今回示されたもの以外でのKPI設定例として

・  各店舗におけるリピート患者率

・  各店舗におけるかかりつけ患者リピート率

・  機会損失回数(薬がその場で揃わない・時間がかかるなどの理由で調剤できない)

・  電子お薬手帳の患者さんの来局患者数およびリピート率

・  居宅訪問服薬指導の患者数およびリピート率。

・  健康サポート研修の実施人数

これらを上手に利用して、かかりつけ薬局としての真のKGI設定をしてくださいね、と優しく言ってくれているようで、実は厚労省はかなりお怒りである、という意味をくみ取っていただけたら幸いです。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。