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未来投資会議の「自立支援」について、思うこと

2016年11月15日

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介護の日の前日、華々しく報じられた「自立支援介護」。
検討の舞台となった未来投資会議。
いまさら少し読んでみた。
趣旨は理解できるが、この資料には違和感が強い。

自立支援って、こういうことなんだろうか。
病気や障害から身体機能的に自立できるかどうかは、ケアの質というよりも、個人因子(病気の性質や生き物としての人生のフェイズ)に左右される。ごく一部の成功事例から、普遍性を見出そうとするのは適切ではないと思う。

そもそもADLとは本来、QOLを実現するための手段ではないのか。
社会に居場所がない、生きがいがない、生きたいように生きられない。そんな状況で、社会から閉鎖された施設でただひたすら栄養を投与し、リハビリをさせて、歩行器で歩かせる。
QOL回復を伴わないADL回復の目的化は虐待と変わらない。こういうのは自立支援とは言わない。

ケアへの依存度を下げたいというのであれば、個人因子ではなく、環境因子を変えればいい。病気や障害がある人がケアに依存しなくても生活ができる社会空間を創ることを目指すべき。

健康寿命延伸だとか、認知症予防だとか、どんなに足掻いても、いずれ誰もが高齢者になって障害者になって認知症になって死んでいく。
人生の最終段階をどう過ごしたいのか。
そのために今からやっておくべきことは何か。

一人ひとりが考える機会を持てばいいと思う。
健康観の押し付けはいらない。

現場のみなさんの意見もお聞きしたいです。

佐々木淳
医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール
筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。