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はじめてイベントしてみました

2016年11月8日

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医療者と製薬企業の対等な付き合い方
~総合診療医と元MRが本音で語る~
2016年10月14日 北とぴあ
主催 吉田智美 南郷栄秀 水八寿裕
後援 医桜

上記のようにかなり挑戦的なタイトルにてイベントを企画して実施いたしました。私と南郷先生の出会いを演出して頂いた“場づくりの天才”吉田智美さんの発案で、3名で討議を重ね、ここまで漕ぎつけることができました。

当日は30名の参加者で、医師、薬剤師、MR、製薬会社本部勤務などの背景の方とディスカッションをさせて頂き、参加者の皆様の満足度はかなり高かったのでは?と思います。
嬉しいことにはMR時代の元同僚も駆けつけて頂き非常に盛り上がりました。

オープニングで吉田智美さんから本会の趣旨と、ディスカッションの進め方をお話し頂き、静かにスタートしました。手作りの会なのでどんなメンバーに来ていただけるか不安でしたが、医師、薬剤師、製薬企業勤務、医療系メディアの方も関心をもって参加して頂けたのは非常に私たちも安心しました。

セッション1

セッション1
株式会社実務薬学総合研究所 水 八寿裕
・製薬会社の製品プロモーションの未来
・製薬会社のミッション 「患者さんのため」というのは本当か?

非常に重いテーマを頂き、悩みながらもスライドを作成しました。私自身製薬企業出身でありますが、現在は医療現場でのフィールドに軸足を置いて活動しているので、南郷先生とは共通の視点も持ちつつも、やはりMR贔屓をしてしまうのは仕方がないことでしょうか。ざっくりポイントを2点にまとめます。

1) プロモーションコード(業界内の宣伝のルール)やMR業務の評価指標が全く患者志向ではないことが問題で、現場の医療者の悩みやとは遠いところで話がまとまってしまっている。これを何とかしないとMR不要論は益々声が大きくなる

2) 患者さんのためと言っている割には、現場の医療者の意見が届かないプロダクトアウト型のマーケティングがまかり通っている

MRの活動はネットで検索できない重要な情報がベースとなっているはずなので、そのような活動をすることで他のメディアや、人工知能による情報提供に代替されることがないものに出来るとお伝えしました。

セッション2

 

セッション2 東京北医療センター 南郷栄秀先生
医師と製薬企業のエビデンスと医師から見るMR宣伝活動の印象

セッション2

EBMと言えば有名な南郷先生のセッションで、先生の考える医療者が用いるEBMと製薬企業が用いるEBMの違いについて解説頂きました。

EBMの4つの輪とは、

1)エビデンス(Best research evidence)

2)患者の病状と周囲を取り巻く環境(Clinical state and circumstances)

3)患者の好みと行動(Patient’s preference and action)

4)医療者の臨床体験(Clinical expertise)

以上の4つをもとに患者さんとともに診療行動を決定することであり、この4つの輪がEBMの実践にもっとも重要なステップであると指摘しています。多くの医師はエビデンスと目の前の患者さんの間にあるギャップに苦悩している日々を過ごしますが、そこに寄り添えるMRなら不要論など関係ありませんね。

セッション3ではグループに分かれてテーマ別にディスカッションを行いました。

ワークショップ中の参加者のメモ

セッション3
1.製薬企業のMRによるプロモーションは必要か?必要な理由、不要な理由は何か?(ファシリテーター 吉田)
2.医療者と製薬企業の対等な関係とはどのような関係か?それぞれはどのように関わるべきか?(ファシリテーター 南郷)
3.「患者さんのため医薬品情報」とはどのような情報か?それを実際に患者に適用させていくとき、医療者、製薬企業は何をすべきか?(ファシリテーター 水)

それぞれバランスよく医療者・MRおよび製薬会社勤務者が混ざり、積極的な意見交換が行われました。例えば私が進行を務めさせていただいたグループでは、もっときめ細かい副作用情報(収集した個々の症例の時系列別にタイムリーに簡潔に示す)などネット検索やPubMedのような文献検索でも出てこないレベルの情報の交換が医療者の問題を解決する1つの方法であるとの意見も出てきました。

今後はこのような対話を通じて、より良い医薬品情報の提供のあり方を製薬企業側か考えるきっかけにして欲しいこと、また医療者側も闇雲に製薬会社の提示するエビデンスに依存しない新しい協力関係が結べるような行動をとれると信じております。

ICTや人工知能にとってかわられるというのはまだその一部に過ぎないことが確認出来たことも今回の企画の収穫でもあります。これから形を変えてこのようなイベントを実施する予定ですので、どうぞご期待ください。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。