医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

高齢者への急性期治療のゴールは何なのか?

2016年10月13日

このエントリーをはてなブックマークに追加

本日は退院・初診の方が2名。

70代の男性。自立した生活を送っていた。
9月下旬に脳梗塞を発症し、急性期病院に入院。
左上下肢麻痺と嚥下障害、構音障害。
入院中にはリハビリテーション実施せず。栄養療法なし。点滴(末梢輸液296kcal/1000ml/日)のみ。
2週間を経過したことを理由に退院するように言われ、在宅介護が困難で特定施設に入居。初診時、唾液の嚥下できず。左上肢・両下肢の拘縮(すでに両側ともに尖足)。

90代の女性。自立した生活を送っていた。
9月下旬に転倒し、右上腕骨を骨折、急性期病院に入院。
入院翌日に発熱し、肺炎の診断にて禁食・点滴管理となる。
3日程度で解熱し、本人は食事再開を切望するが、誤嚥のリスクが高いと説明され、点滴管理が継続となる。
右上腕骨骨折は手術せず固定のみ。尊厳死協会の会員でもあり、経管栄養は希望せず。点滴(末梢輸液172kcal/1000ml)のみで退院。在宅介護が困難で特定施設に入居。

高齢者に対する急性期治療のあり方を、そろそろきちんと考えないといけないのではないだろうか。

回復の可能性や、あるはずの機能を無視していないか?
脆弱性に配慮した治療を行っているか?
治療のゴールは何なのか?

医療は、たとえ病気が治せなくても、生活や人生を取り戻すことを諦めさせてはいけないのだと思う。

佐々木淳
医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール
筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。