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妊娠とお薬

2016年7月5日

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先日、久しぶりに親友に会ってきました。

彼女は私よりずっと年下、1年前に2人めのお子さんが生まれた、若くてかわいいママです。 彼女は病気を持ちながらの出産だったので、大丈夫だったのかな?と心配していたのですが、貴重な話を聞くことができました。

6月の初めに参加した学会で 「妊娠中に薬を使うデメリットだけでなく、メリットも考えてください」 と、とある先生のセミナーで聴いたのですが、彼女はそれを身を以て示してくれた「症例報告」でした。

今回の2人めの出産では、妊婦には慎重に使わなければいけない薬を使いながらの出産。しかし、治療を続けながら出産したら、子どもに影響があるどころか、こんなにも体が楽だとは思わなかったそうです。育児中の今ももちろん治療は継続。元気に子育てしているそうです。そんな自分にビックリ!だそうです。

どうか、妊娠中にお薬を使いながら頑張っている女性に 「赤ちゃんに悪い影響はないの?」 「妊娠中だけでも我慢できないの?」 ということは言わないでください。

病気を持っている妊婦さんはみんな、薬を使うことのリスクは重々承知です。 妊娠する前に何年も悩んでる人もいるし、妊娠してから不安になる人もいます。

病気があっても赤ちゃんを産むんだ、という決心が揺らぐことのないように、支えてあげてください。 ママが元気でいることの大切さも忘れないでください。

幸い友人は、多くの人の応援や大きな病院の助言、さらに主治医の絶妙な治療のタイミングの判断があり、迷いなく出産できました。 しかし、支えてくれる相談機関の存在に気づかず、ネットで自分で調べて「子どもは産めない」と諦めてしまう人も多いかもしれません。そんなときは、「妊娠と薬情報センター」の拠点病院、あるいは妊婦授乳婦薬物療法認定薬剤師のいる病院で相談してみてください。近くにそんな方がいらしたら、相談に行くことを勧めてみてください。 医師でも、そういった医療機関があることをご存じない場合もあるようです。

[参考]妊娠と薬情報センターについて(国立成育医療研究センター)

友人は机の上にたくさん資料を並べられて、これも大丈夫!これも大丈夫!と1つずつ説明を受け、迷いなく出産を決めたそうです。自分には子どもは無理とあきらめかけていた彼女が、です。

実は、彼女に「なんとかなるから産んじゃえば」と深く考えもせず妊娠を勧めてしまったのは私ですが、後になってあまりにも無責任だったなと反省し、妊婦授乳婦薬物療法認定薬剤師のいる病院をお知らせしたという始末。 でも、彼女は私が医療機関をお知らせする少し前にすでに予約を入れていて、来週相談に行ってきます、と言っていました。

彼女がつかんだ幸せは、彼女自身の勇気によるものであることを書き留めておきます。それと、治療を続けることで病気を進行させなかった、これは子どもが大きくなっても彼女自身の人生において、きっとプラスになると私は信じています。

會田 麻理
薬剤師
プロフィール
明治薬科大学卒業。
医療機器販売会社、病院勤務を経たのち、現在は地域密着型の小さな調剤薬局に勤務。
外見ではわからない難治性疾患を経験したことから、患者さんに寄り添える薬剤師をめざす。病気によるハンデを、医療情報技師、小児薬物療法認定薬剤師などの資格を取得することで、一発逆転しようと試みる。