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28年度診療報酬改定:ポリファーマシー問題に思う

2016年3月16日

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元MRです。

10年前までは「先生 是非●●をご処方ください ××をご採用ください」とお願いの連呼をしていたので、何をそんなことテーマでモノが言える立場かよ!と思われる方も多いかと思いますが、薬剤師向けというより製薬会社・医薬品卸関係者の方向けとしてコラムを書かせて頂きました。

平成28年度診療報酬改定の流れのなかで重要視されてきたのが次の2点です。

・医薬品の使い過ぎ
・病床数が多すぎ

病床数の問題はすぐには解決しませんので、医薬品の使い過ぎという問題について考察してみたいと思います。

 

なぜ無駄と思わるような薬が処方され続けているのか?

→医療提供側の問題
[処方元医療機関]
元来医師同士ではお互いの治療方針として、前医の治療方針を尊重し、出来る限り再現しておくのが通例である。

参考 他院の処方を「明らかにおかしい」と思ったことがある医師は、4人に3人。しかしその場合でも「処方医への疑義照会・意見・相談」は「全くしない」が多数派~「医師から医師への疑義照会」実態調査~

[保険薬局]
薬局は同一成分薬の処方やアレルギーまたは同時に飲むと健康被害をもたらすような医薬品の処方があった場合に処方元に疑義照会を行い、適切な薬剤の交付を行っています。しかし処方の妥当性まで踏み込んで疑義照会をすることには抵抗があって出来る限り処方医の意図に寄り沿う方法を採っています。

→患者・家族の問題
よっぽどのことが無い限り患者は処方医の選択した薬剤に疑問を持つことはなく、指示に従って交付されることを期待している。また特定の薬剤は患者・家族のリクエストで交付を求めることも多々ある。

残念ながら、現在は「薬が余っている」ことに照準を合わせた残薬調整という作業に視点がいっているようですが、本来ポリファーマシーの解決には「本当にその患者に適切な処方がされているのか?」という視点が必要であり、薬剤師からの解決提案だけでなく、今の医療制度や医師同士・患者家族の文化的背景まで踏み込んだ議論がさらに必要であると考えています。

 

問題の整理

ポリファーマシー・・・本来その患者に必要な処方の最適化
残薬問題・・・・・・・処方後の交付薬リサイクルなどを含む調整

このポリファーマシー問題は製薬会社・医薬品卸の立場から見ると、自社製品の売り上げの減少に繋がるため、見て見ぬふりをするのが通例でしたが、処方の拡大だけでなく処方の最適化に寄与する情報の提供が重要であると方針を転換することでその立場を強固にすることが出来るでしょう。

また製薬会社MRと医薬品卸のMSは地域の医療資源情報を熟知しています。かかりつけ医・かかりつけ薬剤師を目指す地域の医療者とその知識を共有することで新たな価値を創造することが出来ます。

今こそ原点に立ち返り、過去実績原理主義から脱却してゼロベースの見直しをすることで地域の患者さんと向き合う医療者を支えていくことが可能であると信じています。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。