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産後うつ対策が、ガイドラインへ

2016年3月8日

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先日このような報道があり、話題になりました。

(参考)産後うつ 問診で早期発見へ 日産婦など対策指針

日本産婦人科学会、日本産婦人科医会と、私が理事をしている日本周産期メンタルヘルス学会の合同会議が昨年来から開催され、報告書をまとめたとのこと。 この内容をもとにさらに議論を深め、コンセンサスが得られたものを2017年に改定予定のガイドラインに掲載するそうです。公開されていますので、ここにシェアさせていただきます。

(参考)妊産婦メンタルヘルスに関する合同会議 2015 報告書

近年、各種の調査によって、産後うつ発症のリスクや産後うつが子供や家庭に及ぼす影響なども次第に明らかになっており、学会のガイドラインに組み込まれることには非常に意義があると思います。

報告書にはうつの可能性が高い「ハイリスク」な妊婦さんのスクリーニングとして、NICE(英国国立医療技術評価機構)のガイドラインが定める幾つかの検査法について触れており、特に産後に関してはEPDS(エディンバラ産後うつ病自己調査票)を使うことが提案されています。EPDSに関する書籍の日本語訳を監修させていただき、さらに臨床で使いやすいよう、タブレットでプライバシーにも配慮しながら患者さんに質問できるアプリも監修しました。

(参考)EPDS調査票 

こうした知識と簡便な方法が広まって、多くの方に産後うつについて考えて、早期発見や早期診断に向かってもらえることは素晴らしいことですが、例えば9点以上だから産後うつということでは必ずしもないので、きちんと専門家に診察、診断してもらうことも大事なことです。また、実際に地域においていつ、誰が、どのように、どうフォローしていくかなど、他業種が関わり合う疾患でもあることから、このガイドラインを機に、各地域に合わせたシステム作りが行われていくことが必要です。

Photo By FredericRivollier

宗田 聡
産婦人科医
プロフィール
茨城県出身。医師、医学博士。専門は、産婦人科医(周産期医療、出生前診断、胎児医学、遺伝医学、メンタルヘルス、医療倫理、プライマリケア、医療IT、女性医学)。日本産科婦人科学会認定医・指導医、臨床遺伝学認定医・指導医、認定産業医・スポーツ医、アメリカ人類遺伝学会(ACMG)上級会員(Fellow)
 母校の大学病院で講師として臨床医療・教育・研究に関わり、留学後に幅広い医療、特に女性の心とカラダの健康を総合的にサポートする医療を理想として、地域周産期センター長を歴任後、都内で都市型かかりつけ医のクリニックを開業。
 日英論文多数、専門書(翻訳)執筆にも定評があり、一般誌でも「Anecan」など様々な雑誌で女性の健康に関する記事を多数執筆。著書には、「産後ママの心と体をケアする本」「産後うつ病ガイドブック」「ニューイングランド周産期マニュアル第二版」など。