医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

28年度診療報酬改定:かかりつけ薬剤師指導料導入のインパクト

2016年2月3日

このエントリーをはてなブックマークに追加

theParmacists

今年度診療報酬改定の個別項目、いわゆる短冊が発表されました。現場の薬剤師からもいろいろな意見が飛び交っているのが「かかりつけ薬剤師」についての算定要件のあれこれであろうと思われますので、この1点に絞って考えてみたいと思います。

他の医療職種には無い「薬剤師個人」に対する初めての診療報酬点数の設定です。今までは医療制度として平等主義であり、国家資格者個人で医療技術には差が無いことを前提として設定されていました。4月以降はかかりつけ薬剤師と非かかりつけ薬剤師の2種類のランク分けされた薬剤師によって薬剤の交付が行われることになります。

ではかかりつけ薬剤師になれるための3つの条件とは何でしょう?

———–

1 薬剤師として◯年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週◯時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に◯年以上在籍していること。

※ ○については現時点で未決定です

2 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
3 医療に係る地域活動の取組に参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)

———–

とあります。それぞれについて雑感を述べます。
1番を満たすために薬局開設者・経営者が考えることは、特定の人物を出来るだけ長く特定の勤務をさせることでしょう。大手チェーン薬局で慣例のように行われるジョブローテーションや他店舗ヘルプのような制度は当然対象を減らすことにつながり、人事制度そのものの変更を余儀なくされるのではないでしょうか。また、派遣薬剤師やひたすら転職を繰り返すようなジプシー薬剤師も対象から外れることになり自分自身の今後の評価を下げる可能性があります。

次いで2番目の研修認定制度ですが、シールが発行される研修会に出席してシール集めをすればポイントがたまり、申請によって誰でも認定薬剤師になることが可能です。ただし、持っている人とそうでない人の有意差は証明できません。

最後の3番目の地域活動への参画というのが誰も証明できないものでもあり、言ったもん勝ち的な要素が多いでしょう。

3条件を満たしたからといって、患者・家族がその薬剤師を「かかりつけ」として認めるかどうかはまた別次元の問題であって、これはものすごく時間のかかることであると思います。かかりつけ薬剤師になりたいと考えている人は、もっとセルフプロデュースについて学び、地域の医療者・住民から○○さんに相談すればいろいろ解決してくれるのでは?と思ってもらえるような行動をとる必要がありますね。指名獲得競争ということで、先走って写真入りの名刺やお薬手帳の作成などあれこれ作戦を考えている人も多いかもしれませんが、そんなに簡単に支持は得られません。

やはり、外来調剤でコツコツと信用を獲得して、1日1人でもよいので「あなたに薬を出してもらって本当に助かったよ」と言ってもらえるような仕事をしっかり続けていくことが大事であると考えています。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。