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「産後ケアバトン+」の開発プロセスとは(3)

2016年1月19日

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会議を「見える化」する

このプロジェクトでは、「プロセスの見える化」を心がけているそうです。
それはこのプロジェクト自体が社会へと働きかけるものであり、通常の事業開発とは違いステークホルダーが多いということも理由にあるでしょう。プロジェクト責任者でNPO法人マドレボニータの理事である林さんには、多種多様な立場の関係者同士が納得して素早く合意形成を図るには、通常のメソッドでは不十分だという見立てがありました。
そこで開発プロジェクトのメンバーに、UXデザイナーであると同時に「グラフィック・レコーディング」で知られる三澤直加さん(株式会社グラグリッド取締役)を招聘しました。
今回はこのメソッドが、このプロジェクトに与えている影響についてご報告したいと思います。

 

グラフィック・レコーディングとは?

ここ数年、「次世代の議事録」と言われ注目されているメソッドで、議論の流れを時系列ではなくトピック別などで視覚化し、関係者やその時参加していなかった人にもわかりやすく共有を図るためのものです。とにかく実例を見てみましょう。これはある時期の会議内容を記したグラフィック・レコードです。

 

グラフィックレコーディング 三澤直加

グラフィックレコーディング 三澤直加

いかがでしょう?会議の内容だけでなく「どこが会議のポイントだったか」「どこで盛り上がったのか」などがよくわかり、雰囲気までも見えてくるようです。
当日会議に参加していなかった人でもこのレコードを見ることで、単に記録をたどるだけではない、その場の「追体験」をも可能にします。

 

オンタイムで見せることで議論が加速する

もう一つ大事な効果があります。議事録は会議の後に振り返るためのものですが、グラフィック・レコーディングは、会議そのものをドライブする役割も持つ、ということです。
取材させていただいた会議中幾度か、その場で描かれているレコードを出席者に見せ「こういうことですよね」と確認する場面がありました。 すると出席者からは「そうそう」「そうか、こういうことだったよね」と声が上がって場が盛り上がり、さらに発言のペースが上がっていました。 つまり単なる合意事項の確認ではなく、その場で密度の濃い振り返りと、次のトピックへ移るきっかけを提供したというわけです。

そして一番大事なことは、会議中にこのようなプロセスを経ることで、出席者全員が「今何についてどうなったのか」を把握しやすくなり、結果、会議のたびに必ず何らかの合意形成がなされ、プロジェクトが前に進むことです。必ず前に進むということは、今回のような様々な立場の人が関わるプロジェクトにおいて、生産性という意味で非常に重要です。
このメソッドは、多職種連携が求められる医療介護のチーム運営や、医工連携といったまったく異分野の職種がディスカッションする場面に於いて、大きな効果を期待できると思います。

実はこのプロジェクトにおける「見える化」のためのメソッドは、他にもいくつか導入されていて、それらも興味深いものですので、次回以降も取り上げていきたいと思います。