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「検査値入り処方せん」でできること

2015年10月27日

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先日、リフィル処方せん導入における薬剤師の役割の変化についてコラムに書いたばかりですが、その概念的対極にあるものが、臨床検査値入りの処方箋であると私は考えています。制度化されているものではありませんが、検証レベルも含めいくつか事例が出てきていますので、あれこれ考えてきたことをまとめてみます。

(参考)院外処方箋への検査値印字で保険薬局との協働を(医学書院)

リフィル処方箋では、受診や臨床検査のタイミングを薬剤師が判断することで患者さんの利便性を図りますが、検査値入り処方箋では、薬剤師がその検査値の変動と医薬品との相関を判断し、適切な疑義照会ができるようにしていくことが目的です。

薬剤師がそんなこと本当に出来るの?という不安もあることは事実です。
しかしそこを乗り越えることで、医療連携の真の姿が見えてくると考えています。

 

患者さん目線でのメリットとデメリット

メリット
検査値の変動を知ることによって今後起こる体調の変化が予測できる
臨床検査値の意味について質問ができる機会が増える
薬剤師による医薬品の副作用の回避が増加する

デメリット
不必要な情報または本人が望まない情報についての説明を聞くことによる不安の惹起
プライバシーが保たれないカウンターではその話をされたくない

 

そこで、デメリットについては次のような方法で対応しているようです。

福井大学、北海道大大学病院方式
処方箋と検査値部分は切り離すことができる。→相談したい薬剤師や薬局を選択できる

(参考)院外処方せんへの検査値の印字について

ただし、このような新しいタイプの処方箋を受け取る薬局の一部から、「こんな検査値を入れてこられてもこちらは対応が出来ないよ」という、消極的な声も出てきていることは事実です。しかしこれはちょっと残念な話です。薬剤師としての職能を放棄してしまっているように受け止められても仕方がないですね。

処方箋を発行する医師の立場から見ても賛否両論ありまして、否定派の医師の一番多い意見は以下のようです。
「検査値に限らず、薬剤師の説明は処方元の医師の考え方と食い違い、混乱をきたすケースが多い。」

少し気が利く薬剤師ならば「先生からどんな話をされてますか?」のひと言で、処方医の考えに齟齬がない流れに持っていくことが可能と思いますが・・・

少々愚痴っぽくなってしまいましたが、このような処方箋はじわじわ浸透してきており、確実に地域に波及していくでしょう。処方箋に記載されるであろうスタンダードな項目は、しっかりと今のうちから備えをしておく必要がありそうですね。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。