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災害から母子を守るために、いまこのときできること

2015年9月15日

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吉田穂波医師(東日本大震災時、とある避難所にて)

今回の豪雨被害のニュースに、東日本大震災を思い出した方もいらっしゃるでしょう。平地でも今後はこのような水災害が増えてくるかもしれません。私は東日本大震災の被災地で避難所の子供や妊婦さんを訪問してまわった時に災害時母子対応の制度を改善する必要性を感じましたが、そのあと、仕組みづくりの大変さ、ステークホルダーの多さに四苦八苦しました。

そこで自分の支援先や留学先のネットワークを通じ、国内では約30か所の避難所を対象として実際に震災に遭ったお母さんたちや保健師さんへの聞き取り調査をし、海外では約60か国の調査報告書から、災害時の妊産婦や乳幼児にどのような備えがあればよいのかをまとめました。

国際的な基準では災害時に母子を真っ先に避難させ、安心できる場所と睡眠と食事を確保するようにしています。基礎自治体や病院の方々とこれらの知見を共有し研修を行うと、母子を守るために必要な関係者を集めることとなり、災害時のためだけでなく平時においても地域の連携作りが出来るということが分かってきました。

また、子育て世代が自助力や受援力を高めるよう、非常袋に入れるものやあらかじめメモしておくべき情報や連絡先などを個人で書き込めるような冊子を作り、地域でワークショップを開く取り組みを始めました。

今回、茨城で避難所まわりをした災害医療専門家の方や保健師さんたちからは、「小児、妊婦さんには、体育館ホールとは別の部屋を利用してもらうなど、自治体の方はできる範囲で対応されていたようでした。助産師さんや看護協会の方が災害支援ナースを通して、妊婦、授乳婦、小児などへの支援をかなり強調されていました。」とのご報告を頂き、少しずつ避難所での妊産婦さんや子どもへの視点が増えてきたようで、嬉しいです。

もし、皆さんが、「地域の子育て世代が災害に遭ったらどうしよう」「避難所に妊婦さんがいたら、どうしてあげたらいい?」と悩まれた時は、これまでの研究や調査のエッセンスを集めた研究成果物が役立ちます。

次世代を守るためのツール

「災害時に次世代を守るためのツール」

平時から備えておくべき内容については「あかちゃんとママを守る防災ノート」を自分で記入していくだけで、オリジナル救命ノートが出来上がりますし、避難している妊婦さんのリスクやニーズを把握するチェックリストも、上記から無料でダウンロードして頂けます。
平時はもちろん、有事の際に、周りの人が気にかけてあげるだけで、救われる妊婦さんやお母さんたちも多いはず。「みんなにとって、大切な存在だから、無理しないでね」と声をかけてあげて下さい。お腹の中に赤ちゃんを抱える妊婦さんは、二つの命を預かる大事なお身体。みんなが応援している気持ちが届いて、少しでも休めますように!と願っています。

国立医療保健科学院 主任研究官
産婦人科医
吉田 穂波