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リフィル処方箋は、日本の薬剤処方のかたちを変えます

2015年7月29日

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先日の中医協で、リフィル処方箋制度創設、分割調剤制度見直しに向け詳細な議論を始めることが了承されました。薬剤師にとって大きな話題ですが、日本の医療全体にとってもかなりインパクトのある制度変更です。

患者さん「○○薬局ですかね。今飲んでいる薬欲しいのだけど出してもらえるのかな?」
薬剤師「申し訳ありません。この薬は処方箋が必要でして、処方箋は必ず医療機関を受診しなければ発行することはできないのです。申し訳ありませんが早急に受診をお願いします。」
患者さん「いつも同じ薬なのになんか面倒だね わかりました。」

調剤薬局にお勤めの皆さんはこのようなやりとりをされたことがあると思いますが、これは先進国のなかでは例外的な対応です。ドイツを除く諸外国においては、症状が安定し、受診時に医師による処方変更の可能性が低いような容態の患者さんには、リフィル処方箋というものが発行されています。「リフィル」というのは英語で「詰め替え」というような意味合いの単語で、つまりリフィル処方箋とは複数回使える処方箋です。

患者医師の再診を受けることなく、処方箋1枚で繰り返し薬局を受け取ることができる処方箋である。多くの場合、病状が安定した患者において医師が期限を決めて処方箋を書き、その期限内であれば薬剤師のモニタリングの元に、その都度繰り返し調剤が行われる。薬剤師はモニタリンク結果を薬歴や調剤録に記録をとる。薬剤師が再受診を必要とすると判断した場合は調剤は行われず主治医に受診勧奨を行う。薬剤師によるモニタリングを前提とした仕組みである。

—–「リフィル処方箋」(2015年7月23日 (木) 16:35 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

メリットや問題点をまとめますとこんな感じでしょうか。

患者さんのメリット

  1. 医療機関受診にかかる手間やコストがかからない
  2. 残薬確認や副作用モニタリングなど薬剤師による薬学管理が定期的に行われる

問題点

  1. 処方箋発行医療機関の診療報酬の減少
    (もちろん国民の皆様の医療費の削減には貢献します)
  2. 麻薬・向精神薬処方に対する厳格なリスクマネジメントの必要
  3. 薬剤師の技量により受診を勧めるタイミングが変化する可能性がある
  4. リフィル処方交付時に本人ではなく代理の方が来られた時のアセスメントが出来ない

 

規制改革会議や中医協では、残薬解消、多剤処方防止の手段として捉えられており、薬学部6年制により薬理的な管理を任せられる新たな存在として薬剤師を定義し直した上で、いよいよその役割を担わせようとしています。これが国としての姿勢です。私としても、この重責をしっかりと認識し頑張りたいと思っています。

また薬局薬剤師としては、予見されている深刻な医師不足の医療環境を危惧しています。日常診療で忙しい医師の負担を、一部でも私たちが担うことで地域医療がうまくまわっていけばと思っています。私見ですが、以下の3点を原則としてリフィル処方箋を我が国でも実施することができれば薬剤師の資質の向上が図られ、医療の連携がスムーズになると信じております。

  1. リフィル処方箋に関する情報の処方元への情報提供等は電子化された薬歴へのアクセスを可能とする
  2. リフィル処方箋発行の際はお薬手帳の確認または新規発行を原則とする(電子版手帳でも可)
  3. リフィル処方箋での薬剤交付は原則服用する本人のみとする

未来の医療のデザインは医療現場の声が重要です。より良き医療環境を目指して情報発信をしていかねばと考えております。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。