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お薬手帳の現在、電子お薬手帳の未来

2015年7月2日

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おくすり手帳の未来

いよいよ来年、2016年からお薬手帳の電子化が本格的に普及する段階に入ると言われています。私たちもその説明をしていくべき状況にあります。しかし、まだ一般の方にとってみれば「電子お薬手帳って何?」という方もいらっしゃると思います。代表的なものを簡単に解説をいたします。

[参考]大阪eお薬手帳

専用のスマートフォンアプリを起動して、「非接触ICカード」「QRコード」 「手入力」のいずれかの手段で入力し、自身の服用薬を管理をすることが可能です。大阪だけでなく、他の都道府県でも試行が開始されています。

[参考]HARMO

非接触ICカードとリーダーを利用。患者本人はカード内の記録をスマートフォンアプリで確認できる。カード自体を紛失しても、内容を読み取られる可能性は極めて低いです。

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○共通するメリット

災害時や緊急時に、直近に服薬していたデータを再現できる。
処方重複や相互作用などのチェックが容易になる。

○共通するデメリット
確認手段であるスマホやICカードリーダーなどの設置や普及。
使い慣れた手帳のメリット(書き込みの即時性、メモとしての活用)を比べると機能が不十分。
医療者や介助者が必要とする情報(粉砕、一包化調剤)が追加できない。

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「マイナンバー」の医療での活用もいろいろ議論されています。ただ、お薬手帳がいまもっとも患者さんと医療関係者の間で流通しているツールであり、かつ患者さん自身が持ち歩ける医療情報ですので、電子化においても先陣を切っていくでしょう。ただし、規格の違いで普及が進まないiPhoneかAndroidのお薬手帳アプリのようにならないことが最も重要かと思われます。

実際、現場の薬剤師は毎日以下のような方のお薬手帳を拝見します。

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・血圧を毎日記録している方
・服用時間を記入している方
・効果や体調の変化を記入されている方

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単にシールを貼ってもらってやり取りするのではなく、もっと活用して欲しいと思います。上記のようにいろいろ記入されている手帳には、私もコメントを加えていたりします。

このように、薬剤師が手帳により患者さんの医療リテラシーを確認する機会が重要であると考えておりまして、お薬手帳持参者にはもっとインセンティブを与えても良いのではないかと思います。手帳をお持ちこみでない方には薬の飲み合わせなどのやり取りを口頭で確認する必要があって、薬学的管理がちょっと難しくなります。

正直なところ、単純に忘れた方ではなくご自身の都合で手帳持参を断る方には、飲み合わせなどで起きる健康被害を自己責任という形にせず、薬学管理が難しくなった分を+アルファで負担していただくという考え方がスッキリします。

もちろんお薬手帳の役割、その意義についてしっかりと説明を受けた方もそれほど多くないと思います。またお薬手帳でいろいろ検索してもなかなかヒットしないことが多いのも事実です。

私の仲間がこのようなサイトを立ち上げています。

[参考]お薬手帳らぼ

薬局・薬剤師に関する報道が増え、薬剤師の役割が注目されていることを実感しています。しかしどちらかといえばバッシング的な内容が多く、沈んだ気持ちになったりもします。このままで終わらせないためには、このように薬剤師側からの情報発信を増やしていくしかないでしょう。

手帳の上手な使い方はもちろん、薬剤師との付き合い方なども皆様のご意見いただければと存じます。

水八寿裕
ふくろうメディカル代表
薬剤師
東京理科大学薬学部
臨床准教授
プロフィール
1968年福島県郡山市生まれ。
高校卒業後家庭の事情等で医学部を目指すも学力不足により進学を断念。2浪の末1990年東京理科大学薬学部に入学。4年次に就活を試みるもバブル崩壊の影響で就活をストップし大学院へ進学(研究室に居残りという表現が正しい)。
なんとなく有機科学の薬学研究科修士修了。バブル崩壊の影響は2年後も続いており、渋い有機化学(当時はバイオ系が流行)専攻では製薬会社研究所の就職口が見つからずMRで就活すると一発で内定。武田薬品工業(株)にて10年MRとして勤務 その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
*ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行っています。