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孤独と健康(2)

2015年5月14日

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4月22日付の読売新聞にこんな記事が出ていました。

(参考)「人付き合い週1回未満、要介護リスク1.4倍」

日本福祉大の斉藤雅茂准教授(社会福祉学)が、愛知県内の要介護認定を受けていない健康な65歳以上の高齢者約1万2000人について、2003年10月から10年間、健康状態を追跡調査した結果とのこと。ここまで大規模かつ長期間の追跡調査は日本ではあまりないのではないでしょうか。

結果が非常に興味深いものです。別居の家族や親族、友人らと会ったり、手紙や電話、メールでやり取りしたりした頻度と共に分析。交流が週1回未満だと、排せつや入浴などに介助が必要な要介護度2以上や、認知症になる危険性が、毎日頻繁に交流している人の約1.4倍高まった、とのこと。
交流が月1回未満だとリスクはさらに高まり、介護になるリスクが1.5倍。さらに死亡リスク自体も1.3倍になる。
また、面白いのは、交流の手段。対面やメール、電話などの手段による差異が見られなかったというのです。

まさに、「孤独が健康に悪い」ことを証明した画期的な調査といえるのではないでしょうか。人間が社会的交流を持つことによって、健康を維持していることを示しているといえるでしょう。

似たような研究は、実は少し前からアメリカでも盛んです。というのはアメリカでも、今後5人に1人が継続的な孤独を強いられるだろうと目されていて、2000年ごろからシカゴ大学、ユタ大学などで孤独と健康に関する社会心理学の観点からの調査研究が進んでいるのです。
有名なところでは、アメリカ科学振興協会(AAAS)の2014年度の年次総会で発表された「社会から孤立した生活は、早死のリスクを14%も高める」という研究成果です。これは肥満のリスク(7%)の2倍とのことです。
この原因と考えられるのは、孤独感を感じることでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増えることによる危険性です。コルチゾールが多量に分泌されると、血圧や血糖レベルが上がり、免疫機能が低下し、記憶に関連するとされる脳の海馬が萎縮する、など体に悪影響がもたらされることは別の研究で分かっています。

つまり、まだ確定的な因果関係は証明されていないものの、日本とアメリカのこれらの研究から、孤独が健康に悪影響を及ぼしうる、少なくとも相関関係は認められるのではないかということです。私や、高齢者に日々接している私たちの仲間、または施設関係者の方々の実感値としてはあったと思いますが、こうした研究成果がようやく現れてきたことは、非常に有意義なことだと感じています。

神山 晃男
株式会社こころみ
代表取締役社長
プロフィール
1978年生まれ 長野県伊那市出身
投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務したのち、2013年6月に株式会社こころみを設立、2014年2月に高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」を開始。 「コミュニケーション」と「高齢者の生活」の専門家として数々のセミナーや勉強会に出演中。 「日常会話形式による認知症スクリーニング法の開発と医療介護連携(代表研究者:佐藤眞一大阪大学大学院教授)」共同研究者。 ・「介護のほんねニュース」公認パートナー。 Twitterアカウントは、@akiokamiyama