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臨床現場と患者とICT

2014年8月19日

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今回は医療ICTのお話をしたいと思います。
すでに臨床現場で使われているシステムは電子カルテなどさまざまなものがあります。
病院やクリニックで働いている医師向けの専門誌で、スマホやタブレットに注目した特集を組んで、その監修をしました。

参考)専門誌「治療」|2014年9月『もっと使おう! スマホ&タブレット 〜急速に導入されつつある医療現場での活用例』

以前に比べるとコンピュータを使った電子カルテから一歩すすんで、ユーザーフレンドリーなタブレット型の医療現場での活用もずいぶん広がってきているようです。
しかし、既存のものは一般企業でいう経理処理など内向けの業務をサポートするものが主で、日常診療において役立つものというのは正直なかなかありません。
これは大企業が自分たちでソフト開発をおこなったり、中小企業向けのソフト開発をおこなう会社などが医療の分野ではまだまだ少ないことも一因だと思います。

最近になって、多くの企業が健康産業、ヘルスケア分野にも少しづつ参入してきているようです。6月には「健康」をテーマにした機能がAppleとGoogleの2大OSで発表されました。いよいよヘルスケアに巨大企業が参戦してきたようです。今後は、「ヘルスケア」はメールや時計、お天気などと同じようにスマホ標準の機能へなりそうです。
そのせいか、最近になってさまざまな医療アプリというものが増えてきています。単に情報提供というだけでなく、実際の現場で使えるようなものもいくつか出てきていますね。
いまのところは「お薬手帳」「母子手帳」といった情報共有を主としたものが多いです。

(参考)医療・ヘルスケア用スマホアプリが続々登場、日常生活に定着するか

もちろんこれらもとても有用だと思いますが、医師がもっと使い勝手がいいと思えるものはやはり、診療の手助けになるものですね。たまたまですが、私の専門の診療に役立てばとお話をいただいたのもあって以前このようなものを作っていました。

(アプリ)EPDS診断票

これはEPDS(エディンバラ産後うつ病自己調査票)の日本語版を、実際に患者さんにタブレットを手渡し答えていただくことで、診療の効率と精度を同時にあげようと企画したものです。診断基準が明確にあるものはこのようなかたちに変化させることで、オープンでかつ精度の高い診療補助ツールにできると思っています。こうしたツールが増えていけば、全体として診療の品質が高度に均質化され時間の密度もあがり、医師患者双方にメリットが出てくるでしょう。

専門誌ですが臨床助産ケアという雑誌で、周産期メンタルケアについて書かせていただいています。もちろん、EPDSのことにも触れています。ご興味ありましたらご一読ください。

(リンク)隔月誌:臨床助産ケア

 

Photo by  Johan Larsson

宗田 聡
産婦人科医
プロフィール
茨城県出身。医師、医学博士。専門は、産婦人科医(周産期医療、出生前診断、胎児医学、遺伝医学、メンタルヘルス、医療倫理、プライマリケア、医療IT、女性医学)。日本産科婦人科学会認定医・指導医、臨床遺伝学認定医・指導医、認定産業医・スポーツ医、アメリカ人類遺伝学会(ACMG)上級会員(Fellow)
 母校の大学病院で講師として臨床医療・教育・研究に関わり、留学後に幅広い医療、特に女性の心とカラダの健康を総合的にサポートする医療を理想として、地域周産期センター長を歴任後、都内で都市型かかりつけ医のクリニックを開業。
 日英論文多数、専門書(翻訳)執筆にも定評があり、一般誌でも「Anecan」など様々な雑誌で女性の健康に関する記事を多数執筆。著書には、「産後ママの心と体をケアする本」「産後うつ病ガイドブック」「ニューイングランド周産期マニュアル第二版」など。