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看護師のキャリアを考える:看護師の長所を伸ばせ!

2014年1月23日

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看護師の特徴を考えると、私はどうしても業務の特性との関係について考えてしまいます。

病院の看護業務は24時間365日、2交替あるいは3交代で看護師が継続していきます。
誰もが同じ水準での仕事を求められ、どの患者にも同じケアを全看護師が行うことが必然的に求められます。たとえば、看護師は清潔ケアや投薬を漏れなく行えるように把握し、オペ出し時間に遅れないように患者の準備を促し、患者の取り違いや薬の間違いがないように看護師2名でチェックするなど、いくつものルールを覚えそれを実行します。
業務の上では、漏れがなく時間通りに完了し患者からのクレームのない、いわば短所の少ない看護師は上司からも同僚からも信頼されます。就職して当面の目標はこのような業務に重点がおかれます。

スタッフとして働くにはそれで十分ですが、3~5年の経験を経ると役割が加わってきます。大まかに言うと教育・研究・マネージメントなどの分野です。ここで多くの看護師が一旦立ち止まるのです。はたしてどこに向かうべきか。

看護師の業務は常に決められたところからスタートします。配属された診療科によって患者さんの特性も決まり、入院患者の数も決まり、そこの職場で行われるケアや業務内容も決まってきます。常に「待ち」からのスタートであり、病院ではそういう役割とされています。

私は個人的に、この業務特性にポイントがあるのではないかと思っています。業務上の必要性から誰もが同じ水準を目指す必要があるため、短所を減らし、長所を押し殺す傾向があるからです。

ですから、私が組織の中において課題解決として特別なことを行うことは簡単ではありませんでした。集中治療室に就職して4年目のとき、麻酔科医と協力して術後自己調節鎮痛法(Patient Controlled Analgesia PCA)の導入を図ったときも、医療用麻薬の導入において上司や先輩看護師達の説得には神経をすり減らしました。

また、病棟においてはあまり来院しない家族の意見を聞こうとして、日勤後に19時まで待っていたところ「この時間に日勤さんはいてはいけない。」と上司に追い出されたものでした。もちろん管理上ダメなものはダメなのですが、では家族とはいったいいつ会えるのでしょうか。その都度、私は上司に突きつけました。「では、あなたの考える代替案は何ですか?」明確に答えてもらったことはありませんでした。

私は問題解決を図ろうとする活動や看護師1人1人の個性など、長所を活かすことができるかたちはないかと考え、組織を去ることにしました。従来の組織では、看護師の得意分野を活かして「困っていることを解決」し、もっと良いケアを提供するために看護師がいろいろと考えても、実現することは難しいのです。

しかしそれから7年過ぎた先日、私が認定看護管理者教育課程サードレベルで講師を勤めたときのことでした。近い将来、看護部長になる大先輩達を相手に、企業の「商品開発」のグループワークを行ってもらいました。その際、多くの参加者は「はじめて商品開発をやったが、考えたことがなかった。」「やってみると楽しかった。」「今後、病棟の運営に活かせそう。」など、ベテラン看護管理者達が笑ったり大騒ぎしたりしながら、グループワークを行っていたのです。

私は改めてここに看護の可能性を感じました。看護師はこれまで業務の特性に縛られてクリエイティブな仕事をやってこなかったのですが、やってみると必ずそこに喜びや成長の片鱗を見出すことができるのです。

一部の病院で少しずつ看護師による外来が設けられ始めました。人工肛門などの皮膚ケアの分野、精神看護ケアの分野、リンパ浮腫のケアなどにおいて患者さんの課題解決を専門看護師や認定看護師が行おうとしています。彼らの話を聞くと苦労話と共に責任感と充実感をみることができます。

どうやら看護師や将来性は、業務特性を乗り越えて自分の長所を伸ばせるかどうかにかかってくるように思いました。どこかのスポーツと同じかもしれませんね。

賢見 卓也
看護師
プロフィール
兵庫県立看護大学卒業。日本大学大学院グローバルビジネス研究科卒業。看護師。MBA。 訪問看護パリアン 在宅ホスピス看護師。株式会社トロップス 代表取締役。NPO法人がんと暮らしを考える会 理事長。

医療法人社団パリアン http://www.pallium.co.jp/
株式会社トロップス http://www.troppus.co.jp/
NPO法人がんと暮らしを考える会 http://www.gankura.org/

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